人類滅亡か靴下か! 『ガンパレード・マーチ』は本当のガチで「何でもアリ」でした
凝ったシナリオと高い自由度を両立させる難しさ

その一方、『ガンパレ』は「シナリオ」も凝りに凝っています。そのひとつが、速水以外のプレイ可能キャラが解禁される2周目以降で主人公に「中村光弘」を選んだ場合に遊べる「ソックスハンター」です。
中村は、あまりの臭さにアイテムとして使用すると気絶する「ソックス」に魅せられ、クラスメート全員分を集めるため奮闘します。このプレイが大変なのは、戦闘でキャラが死んでしまうと、二度と靴下を回収できなくなることです。そしてひとりずつの好みに応じた「手作り弁当」や「ぬいぐるみ」といったアイテムと靴下を「交換」したり、殴り合って奪ったりしていくのです。イロモノイベントと思いきや、まっとうに話術などのスキルを磨き、ケンカに勝てるよう鍛え、そしてだれも死なないよう幻獣相手の戦闘にも勝利し続けるといった、実はかなりまっとうなプレイが要求され、大変な手間がかかります。
これらイベントには声優さんのボイスも付き、愛憎や陰謀、裏切りが渦巻き、そして専用エンディング……その後もゲームは続き、本編(メインシナリオ)への影響は一切ナシ。ここまで作り込むの、頭おかしいです(褒め言葉)。
が、シナリオとは「○○の条件を満たす」の塊であり、自由度とはすこぶる相性が悪いものです。特にガンパレでは全てのNPC(プレイヤーが操作しないキャラ)はAIで動いており、主人公の魅力を上げすぎると複数のキャラに惚れられて修羅場が起こったり、あるキャラは刺し殺しに来たりもします。
そうして縺(もつ)れまくった人間関係こそ楽しいものの、予想不能な事態が多いためか、本作では進行不能な「シナリオバグ」(重要な局面で、特定の条件を満たした場合)が起こることが知られています。自由度と凝ったシナリオ、あちらを立てればこちらが立たずなんでしょうね。
そのようなふたつを両立させようとしたのが、2003年に発売された『新世紀エヴァンゲリオン2』でした。どちらのタイトルもゲームのシステム設計が芝村裕吏氏で、開発スタジオがアルファシステムであり、同じようなゲームシステムから「事実上の続編」という見方もあるようです。
おなじみ「シンジ」「レイ」「アスカ」など原作キャラでプレイ可能であり、それぞれに固有のシナリオはあります。が、本作の最大の特徴は「庵野AI」です。各話のなかでプレイヤーが取った行動により、次の話で起こるイベント等が変わってくるという、庵野秀明監督がアニメ版の制作で実際にやった「ライブ感覚」を取り込んでしまったのです。
それによりプレイヤーは、この世界で好き勝手に暮らすAIキャラとの交流を楽しみつつ、変幻自在なシナリオも味わえるというしくみです。もっとも、AIキャラの行動は『ガンパレ』に輪を掛けて自由奔放であり、また「水分を摂るとトイレが近くなる」など体調管理要素もあって(そしてそれはAIにもあり、機嫌が変わるなどする)、プレイに慣れるまでは大変です。
『ガンパレ』と『エヴァ2』ともに、PlayStation4やPlayStation5など現行ゲーム機ではプレイできません。それぞれ復刻するには高いハードルを超える必要がありそうですが、どちらも唯一無二だけに、いつの日か実現することを祈りたいところです。
『高機動幻想ガンパレード・マーチ』:(C)2000 Sony Computer Entertainment Inc. All rights reserved.
(多根清史)


