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『ドラクエ3』パンツ一丁「オルテガ」の見た目、他になかった? 「色違いカンダタ」以外の最適解は

『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の主人公の父「オルテガ」は「覆面にビキニパンツ」という出たちで初登場しました。いくら容量が限られていたとはいえ、他の候補はなかったのでしょうか。

いまだにネタにされるオルテガのビジュアル 覆面パンツ以外に候補はあった?

ファミコン版ではオルテガと盗賊の「カンダタ」の見た目はほぼ同じだった。画像は「ドラゴンクエスト メタリックモンスターズギャラリー カンダタ」(スクウェア・エニックス)
ファミコン版ではオルテガと盗賊の「カンダタ」の見た目はほぼ同じだった。画像は「ドラゴンクエスト メタリックモンスターズギャラリー カンダタ」(スクウェア・エニックス)

 いまなおネットでネタにされ続けている男「オルテガ」は、大人気RPG『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の主人公の父親です。単身で旅立ち世界中をまわり、魔物を討伐し続けたのちに火山で命を落とした勇猛な戦士でした。ところが『ドラクエIII』の物語の終盤において、なんとか生き延びていたことが判明します。

 しかし、それも束の間のこと、「ゾーマ城」にて主人公のすぐ眼前で、「キングヒドラ」との死闘の末に息を引き取るのでした。このように書けば切なくも美しい英雄譚なのですが、どうしても気になるのがキングヒドラとの戦闘シーンにおける、オルテガのビジュアルです。

 覆面にビキニパンツ一丁、手には斧のビジュアルは、物語の序盤に出てきた盗賊「カンダタ」や、モンスター「デスストーカー」の色違いとなっていました。あれほど会いたかったお父さんが、「変態覆面パンツ」だったなんて……と、感動とは別の衝撃も当時の少年少女を襲ったのです。

 もちろん「ドラクエ」というゲームシリーズの歴史は、ROM容量不足との戦いの歴史に他なりません。新たにオルテガのビジュアルを用意するだけの、空き容量がなかったと考えるのが妥当でしょう。既存モンスターのビジュアルを流用すること自体は、何ら問題はありません。

 問題は、流用するにしても「カンダタ」系で良かったのか? ということです。発売から36年が経過し、2024年11月14日にはHD-2Dのリメイク版が発売されます。これを機に、改めて本当にオルテガのビジュアルがあの覆面パンツで「最適解」だったのか、他候補のビジュアルはなかったのか、再検討してみましょう。

 まず人型モンスターで、最も「人間」に近いのは「くさったしたい」系です。なるほどちゃんと服も上下着ていますし、その時点でカンダタよりお行儀が良いのですが、いくらオルテガが歴戦の猛者とはいえ、よだれを垂らして虚ろな眼をした状態していては、「実は生きていた!」という演出に差し障りがあるでしょう。

 同じく服を着ている「バンパイア」系はどうかといえば、きっちりしたタキシード姿で、そもそもオルテガの筋骨隆々なイメージと合いませんし、コウモリの翼が生えています。そんなものを生やしてしまえば、魔物でしかありません。これは却下です。

 では「シャーマン」系のビジュアルはどうでしょうか。お面を装着し、上半身裸という点において、すでに覆面パンツと大差ありません。また妙にはしゃいでいる雰囲気も、ラストのドラマに水を指します。とはいえ、覆面パンツもまた水を差しているので、「シャーマン」がとやかく言われる筋合いはないのかもしれませんが、ここは却下です。

 では、「カンダタこぶん」系ビジュアルはどうでしょうか。親分は上述の不審なコーデでしたが、「こぶん」は全身を甲冑に身を包み、盾に剣まで装備しており、いかにも勇者らしい姿です。キングヒドラ戦も「ドラゴンに挑む騎士(ナイト)」という構図で、非常に映えることでしょう。

 ただ、オルテガは記憶をなくしてもなお単身でゾーマ城まで乗り込む、全身くまなくマッチョな男です。むしろこうした装備品が、彼のマッチョイズムを損ねてしまうというところが難点でしょうか。

 またリメイク版では「オルテガのかぶと」は主人公が手にしているので、甲冑だとせっかくのドラマに若干の齟齬が生まれます。とはいえ、その違和感が覆面パンツのかもし出す違和感を上回るかといえば、そんなことはありません。ネット上でも、この「カンダタこぶん」「さまようよろい」を推す声が目立ちます。

 他の代替案も探してみましょう。これまでの条件を全て満たすようなビジュアルは、既存のモンスターでいたのでしょうか。人間型であり、装備も少なく、マッチョで変態性が低いビジュアルの持ち主といえば、「うごくせきぞう」かもしれません。

 完全に人型であり、マッチョでありながらも服装は、片方の胸だけ露出した法衣をまとい非常にワイルドです。身ひとつでゾーマに挑んでいった、オルテガの男らしさにも一致します。こんもりとしたヘアスタイル、もみあげからつながった口髭を許容できるなら(覆面パンツと比べて)、別解のひとつに数えてもいいのではないでしょうか。なおゾーマ城には同系の「だいまじん」がおり、被りは留意すべきではあります。

 ここまでオルテガのビジュアルの最適解を令和の現在、改めて検討してきました。「さまようよろい」系と「うごくせきぞう」系など、ピッタリとは言わないまでも「覆面パンツ」よりはマシ、とう意味での最適解と思える候補はいくつかあります。

 ただ、やはり考えてみると、それが何だというのでしょうか。仮にオルテガのビジュアルが今回挙げた別候補だったら、ここまでの人気キャラに成長していたでしょうか。歴史が証明しています。長い目で見たとき、明らかにオルテガのビジュアルの最適解は「覆面パンツ男」であり、「そして伝説へ…」のサブタイトルはむしろ彼に捧げられたもの……なのかもしれません。

 ちなみに、HD-2D版に登場するオルテガのイメージイラストはすでに公開されており、パンツ一丁ではないものの薄着で筋骨隆々な新しいビジュアルが話題と好評を呼んでいるようです。今回はオルテガの旅路が分かるエピソードも追加されるようで、期待が高まります。

「ドラゴンクエスト メタリックモンスターズギャラリー カンダタ」:
(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

(片野)

【画像】え…っ? 「筋肉かっこよ…」「よく見たら履いてないかも」 こちらがパンイチとは違う「HD-2D版オルテガ」のイメージイラストです

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