実写『東リベ』の「続き」があるなら 原作よりエモいラストも期待できるのでは
なぜ『リベンジャー"ズ"』だったのか

●原作の最終回を踏まえて、実写映画でも「IF」の結末を想像したくなる理由
筆者個人としては、賛否を呼んだ原作マンガの最終回およびクライマックスは、なるほど『東京リベンジャー“ズ”』と複数形になっているタイトルを回収するものでしたし、「駆け足」とも言われた演出および表現も「分かりきっていることは描かなくてもいい」という意図のもとの、必然性があると納得できました。
原作者の和久井健さんも最終回に合わせたインタビューにて、「『リベンジャー』じゃなくて『リベンジャーズ』というタイトルに決めたときからこの展開を考えていた」こと、「エンディングも『血のハロウィン』(を原作を書いた時)くらいのときには決まっていた」ことを語っています。少なくとも、一部で言われているような「打ち切り」などではないことは確定しているのです。
原作の結末に対する「あまりに都合が良すぎる」「今までのことがほぼなかったことになってしまう」という批判的な意見には、確かに反論しにくいのも事実です。しかし、「何度でも目的のために過去に戻ってやり直す」という『東京リベンジャーズ』の根本の物語と精神性に対しての結末としては、とても美しいものだったとも思えます。
そのこともあって、もしも実写版『東京リベンジャーズ』が2のままで終わってしまうと、タイトルが複数形である理由が描かれず、何より前述した目的も未達成なままという、やはりより中途半端な印象を抱いてしまいます。
ここはやはり、「本当にタイムリーパーだった稀咲を倒す」というゴールを目指しつつ、タイトルの「ズ」も回収し、ヒナタが生き延びて、タケミチと仲間たちにとってもハッピーエンドを迎えるという、(原作の最終回も踏襲した)実写映画版独自の結末も想像したいところです。
また、原作ではキサキは「オレは…」と何かを言いかけたところでトラックに轢かれてしまい、何を言いたかったのかは謎のままだったので、それに続くセリフを実写映画で描くことも考えられるでしょう(単に「オレはタイムリーパーじゃない」と言いたかったのかもしれませんが)。
さらに、稀咲はあまりに身勝手でゆがんでいながらも、ヒナタへの好意そのものはタケミチと一致しています。このことから、たとえばヒナタが稀咲へ慈愛に満ちた言葉をかけるといった、実写独自のドラマを作り出すこともできるのかもしれません
せっかくこれまでの3作が成功しているのですから原作の最終回への批判的な意見への、「アンサー」を投げかけられれば、より伝説的な実写版となれるでしょう。
また、原作で「松野千冬(演:高杉真宙)」が、タケミチがタイムリーパーであることを知り、より心強い仲間になっていく過程は人気の部分なので、実写でもその積み重ねを観てみたいです。前述した通りハードルは高いのかもしれませんが、実写映画版の続編、完結編をいつまでも待っています。
(ヒナタカ)