アシタカがサンにプロポーズ!? 「ジブリ」良い感じだった2人の“その後”とは
スタジオジブリ作品では、映画本編で語られなかったキャラクターたちのその後の人生が、原作小説や関連資料から見えてきます。宮崎駿監督が残した設定や、公式ムック本に残された証言から、『天空の城ラピュタ』『魔女の宅急便』『もののけ姫』の「その後」を紹介します。
原作や資料集が語る、キャラクターたちの未来

名作ぞろいのスタジオジブリ作品には、それぞれに魅力的なカップルが登場します。しかし彼らが最終的にどうなったのか、ラストは視聴者の想像にゆだねる作品も少なくありません。ただアニメでは明かされなかったものの、原作をたどるとそれぞれの「その後」が描かれているパターンもありました。
1986年に公開された『天空の城ラピュタ』では、主人公の少年「パズー」と、ヒロイン「シータ」のその後について、映画では描かれませんでしたが、1986年に刊行された『アニメージュ文庫 小説 天空の城ラピュタ』(徳間書店)で触れられています。
本書では、物語の最終章でシータが再び故郷の「ゴンドアの谷」へと戻り、家畜の世話をしていました。そこへパズーからの手紙が届きます。手紙では「鳥型飛行機(オーニソプター)」の完成が間近であること、完成したらシータを訪ねていくことがつづられていました。
さらに、1996年6月に刊行された『スタジオジブリ作品関連資料集I ナウシカ・ラピュタ』(徳間書店)の65ページには、パズーが「オーニソプター」に乗ってシータを訪問する姿があり、ふたりはたびたび交流を重ねていることが分かります。
1989年に公開された『魔女の宅急便』では、魔女の修業のために日々奮闘する13歳の女の子「キキ」と、海沿いの街「コリコ」で出会ったメガネをかけた明るい少年「トンボ」の関係性が描かれました。キキがトンボを飛行船の事故から助け出すシーンが映画のクライマックスとなっており、ふたりの「その後」については、角野栄子さんによる同名の原作小説で詳しく展開されています。
原作では、長い間トンボに片思いをしていたキキが彼と結婚し、ふたりのあいだに双子が生まれます。そして原作の最終巻、35歳のキキは双子の母として日々奮闘しているようでした。
最後は1997年に公開された『もののけ姫』です。この作品では、村を襲った「タタリ神」によって呪いを受けた少年「アシタカ」が、人間でありながら山犬に育てられた少女「サン」と出会い、心を通わせていきます。
ラストシーンで、アシタカは「タタラ場」へ、サンは森へと戻り、それぞれの生活を続ける決断を下しました。
しかし『もののけ姫 スタジオジブリ絵コンテ全集11』のなかには、このシーンで「アシタカがサンにプロポーズしている」というコメントが付いています。宮崎駿監督の構想では、アシタカがサンにプロポーズする未来もあったのかもしれません。
さらに『もののけ姫』の公式ムック本『ロマンアルバム もののけ姫』では、宮崎監督が「タタラ場の理屈から言うと、生きていくためには木を切らなければならない。だけど、サンは切るなっていうでしょ。その度に突っつかれて生きていくんだな、アシタカは大変だな」と、今後もアシタカとサンがぶつかり合いながらも生きていくことを示唆していました。
これらの設定は本編では描かれることはありませんでしたが、物語が終わったあとも、それぞれのキャラクターが等身大で生きていることが想像できます。
(LUIS FIELD)