異常にデカっ! デザイン特殊なファミコンカセット・3選 めったに見ないレア種も?
一般的なファミコンカセットにはない、特殊な仕様を詰め込まれた個性的なファミコンカセットがいくつも登場しました。謎めいた形状やギミックの裏には、どんな背景があったのでしょうか。
特殊な仕様には、意外&納得の理由が

ゲームソフトの「形」は、時代と共に変わってきました。いまはカートリッジ型(Nintendo Switch)や光学ディスク型(PlayStation 5など)といった物理メディアと、デジタルのダウンロード販売が主流です。
黎明期まで遡ると、ファミコンに代表されるカセット型がメインとなります。しかしカセットとひと口にいっても、なかには意外な形や構造のファミコンソフトもありました。
●通常の枠には収まり切れない!「大型カセット」
一般的なファミコンのカセットといえば、ちょうど手のひらから指に乗る程度です。そのくらいの大きさで捉えている人も多いことでしょう。しかし一部のファミコンソフトは、このサイズを大きく超える「大型カセット」で登場しました。
一部のファミコンカセットが大型化した理由は、ROMの大容量化など従来のサイズには収まらない性能を求めた結果です。当時のファミコンソフトでは最大規模の「8メガビットROM」を搭載した『メタルスレイダーグローリー』は、その典型的な例といえるでしょう。
大型カセットはこのほかにも、『信長の野望 全・国・版』『ファミコンジャンプ 英雄列伝』『魍魎戦記 MADARA』『ラグランジュポイント』『妖精物語ロッド・ランド』など、メーカーやジャンルもさまざま。一部とはいっても、実例としていくつも名が挙がるほど、大型のファミコンカセットが登場していました。
●カセットにカセットを挿す「ダブルカセットシステム」
実際の選手が登場するスポーツゲームは、そのリアリティーがファン心をくすぐります。しかし、現実の選手は成長や怪我などで能力が変わっていき、時間が経つごとにゲームデータとの乖離は避けられません。
いまならオンライン経由でデータの更新も可能ですが、ファミコンの時代にそうした環境はなく、毎年データを更新したシリーズ作品をリリースするのが一般的なやり方でした。
しかし、そこに一石を投じたのが、『なんてったって!!ベースボール』の「ダブルカセットシステム」です。
ダブルカセットシステムとは、ゲームの本体となる「親ガメ」と、選手のデータが入った「子ガメ」を組み合わせたもので、「親ガメ」に「子ガメ」を挿すスロットがある特徴的な形をしていました。
これまでは、選手のデータを更新するためには新作を出すしかなかったところ、ダブルカセットシステムなら「子ガメ」だけで済みます。「子ガメ」だけなら価格も抑えられるため、消費者は最新データをより安価に得られるというメリットがありました。
特殊な構造ながら利点のある優れたシステムでしたが、ダブルカセットシステムは残念ながら浸透せず、『なんてったって!!ベースボール』の「子ガメ」展開はごくわずかでした。
●ファミコンカセットがなぜ光るの?「LED搭載カセット」
ゲームカセットの役割は、基板のなかにあるデータをゲーム機本体に渡し、ゲームとして出力してもらうこと。その結果、プレイヤーはさまざまなゲームを楽しむことができます。しかし、それとは全く異なる役割も担ったファミコンカセットが存在しました。
アイレムがリリースしたファミコンカセットの一部には、なぜかLEDがついており、ファミコンに差し込んで電源を入れることで「LEDが光る」といった仕組みになっていたのです。それもほんのりとした明かりではなく、はっきり分かるほど煌々と点いていました。
LEDがついた理由ははっきりしており、ファミコンの電源が入っていることを示すため。ファミコンのカセットは電源を切ってからの抜き差しが鉄則なので、誤って取り扱わないように電源のON/OFFを視覚化した、アイレム側の配慮によるものでした。
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今回は代表的な3つのケースを取り上げましたが、このほかにも「金ぴか(金メッキ)」や、透けていてなかが見える「スケルトン仕様」のカセットもありました。光学ディスクのように本体内へ挿入させる必要がないファミコンのカセットは、物理的に自由だったともいえるでしょう。
※本文の一部を修正しました。(2025.2.17 13:10)
(臥待)