アニメオリジナルの「生死変更」があった衝撃作 「出てこられなくなったキャラも」
アニメ化されたマンガや小説の原作を知っていると、放送されていない部分の先の展開もおおよそ予想が付きます。しかし、なかにはまさかのオリジナル展開で、原作ファンにも衝撃を与えた作品もありました。
アニメ版で変わった運命にビックリ

これまで数多くのマンガ、小説がアニメ化され、原作に忠実なものから改変が多く盛り込まれたものまで、さまざまな作品が話題になってきました。なかには、オリジナル展開によってファンもまったく知らないストーリーが繰り広げられ、キャラクターの生死にまで影響を与えた作品もあります。
2012年に放送された『Another』は作品の大筋に変わりはないものの、メディアごとに違った展開を見せました。本作は夜見山北中学校の3年3組に転校してきたばかりの主人公「榊原恒一」が、クラスでいないものとして扱われている「見崎鳴」に話しかけたことを発端に、クラスメイトやその親族に次々と不可思議な「災厄」が襲いかかってくる物語です。
原作ではクラスメイト「小椋由美」が生還するのに対し、アニメ版では終盤に合宿所の2階から転落して命を落としました。そうした違いは登場人物の生死だけでなく設定にもおよび、原作ではクラスメイトのひとりにすぎなかった「赤沢泉美」が、アニメでは恒一と過去に面識があり、もうひとりのヒロインのような主要人物として描かれます。
その赤沢の最期も原作では合宿所の2階ベランダからの転落死ですが、アニメでは落雷で割れたガラスが大量に突き刺さって死亡しており、状況が異なりました。ちなみに赤沢は、コミカライズ版では災厄を乗り越えて生還しています。
また、原作完結後のオリジナル作品で物議をかもしたのが、2001年12月と2002年3月に発売されたOVA『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 星霜編』です。同作は原作最終回の十数年後を描いた作品です。OVAまでの原作通りの物語では、幕末に「人斬り抜刀斎」として名をはせた剣士「緋村剣心」が、かつての行いを悔いて「不殺(ころさず)」を誓い、刃と峰が反対についた「逆刃刀」を用いて人助けのために戦いを繰り広げています。
OVAではオリジナルの物語が描かれ、原作にないメインキャラの死で視聴者に衝撃を与えました。最終的に剣心が病気で息を引きとり、妻の薫も同じ病気で後を追うことになるのです。アニメ独自に描かれた最期は賛否を呼び、「星霜編みたいな悲しい結末もひとつの終わり方としてありだと思った」「やりきれないラストは悲しくて嫌だ」と評価が分かれました。
原作と違う生死でいえば、死ぬはずのキャラクターがアニメ版で救われた『風夏』(2017年)も当てはまるでしょう。本作は主人公「榛名優」がヒロイン「秋月風夏」との出会いをキッカケに、バンド活動を通して成長していく物語です。
原作では優と風夏が両想いになるも、ライブハウスに向かう途中で風夏がトラック事故に遭遇して亡くなるという展開が描かれました。そして、風夏の死で失意に暮れる優の前に、同じ名前を持つ「碧井風夏」が現れるのです。
一方で、アニメでは尺の都合や、風夏の死に驚きと悲しみを覚え「原作と違う展開でアニメをしたい」と強く思ったという立石謙介プロデューサーの思いもあり、すんでのところで風夏がトラック事故を回避して生き残る展開が描かれます。
そして、歴史が変わったあおりを受けて、アニメで碧井の出番はありません。原作者の瀬尾公治先生は、アニメ公式サイトで改変を受け入れた理由を「僕自身が生きている秋月風夏を見たかった」と明かしています。
原作通りの展開を望む声もありながら、視聴者からは「救いのあるアニオリで最高だった」「原作を知ってても、アニオリ展開は初見で、驚くほど新鮮な気持ちで見られた」と、改変を肯定する意見も多数ありました。
(LUIS FIELD)