『ガンダム』シャアの名前の由来は「シャーっと来るから」はホント? 名付けの真相と“もうひとつの説”
『機動戦士ガンダム』の人気キャラ「シャア・アズナブル」の名前の由来は? ウワサの真相に迫ります。
「赤い彗星」の命名秘話

赤いものを見ると「これ、3倍速いのか?」というギャグが飛び出すほど有名な「赤い彗星のシャア」。いまさら説明の必要もないでしょう。1979年の『機動戦士ガンダム』に登場した主人公の宿敵です。
真っ赤な軍服に身を包み、専用のモビルスーツで主人公の前に立ち塞がるシャアは、その見た目の格好良さもあって、放送当時から、まず女性のアニメファンのハートを捕らえて注目を浴び、人気を得ました。
その後、数奇な運命を背負った設定などとともに、『機動戦士Zガンダム』にも重要な役柄で登場、劇場用作品『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、タイトル名になるほど、ガンダムシリーズでは欠かすことのできない存在です。
しかし、彼の本当の名前は「キャスバル・レム・ダイクン」。シャアというのは偽名。このあたりの詳しいことをご存じない方には、ぜひ『ガンダム』の本編を見て頂くとして、この「シャア」という名前の出自についても、ちまたには諸説あるようですね。
『ガンダム』が初めて放送された1970代、特にその前半くらいまでのTVアニメの「敵」といえば、見るからに悪そうな、時には化け物のようなデザインのキャラクターがほとんどでした。
そんな頃、後にこの『ガンダム』を企画制作した「日本サンライズ」というアニメ制作会社を創立した人々は、他社制作作品の下請け会社「創映社」「サンライズスタジオ」として活動していました。そこで1975年に実製作したのが『勇者ライディーン』(制作・東北新社)。ここに登場させた敵キャラクターの名が「プリンス・シャーキン」でした。
このシャーキン、バケモノ敵キャラのなかにあって、スマートで精悍な青年という当時としては希な存在でした。そして、このシャーキンにも、当時としてはまだまだ珍しかったハイティーンの女性ファンが数多くつき、幼年向け番組を作っていたつもりのスタッフたちを驚かせ、番組自体も大人気になりました。
『ライディーン』の前半、つまり企画から基本設定に関わった監督が『ガンダム』の富野由悠季監督です。
たとえ子供向きと言われるTV番組でも、キャラクターによってはハイティーンから人気を得られると知っていた富野監督、そして『ライディーン』でキャラクターデザインを担当した『ガンダム』のキャラクターデザイナーでもある安彦良和さん。このふたりが組んだのですから、そこには当然のように、敵側のキャラクターはどんなものにしたら人気が出るかという共通イメージがあるわけです。
もちろん、それが100%の理由ではありません。作品成立に一番大切な企画や基本設定、そしてキャラの命名にも多くの人々の意見が反映されます。