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なぜ人気キャラは権利切れ後ホラー化されるのか? 『マッド・マウス』監督&プロデューサーインタビュー

ほかのホラー化キャラと比べてもミッキーは別格?

監督のジェイミー・ベイリーさん(右)とプロデューサーのサイモン・フィリップスさん(左)
監督のジェイミー・ベイリーさん(右)とプロデューサーのサイモン・フィリップスさん(左)

●ミッキーが動物を虐待していることを意識していた

――劇中の殺人鬼のやりたい放題な姿は、『蒸気船ウィリー』でのミッキーのはちゃめちゃな行動の印象に近い気がしましたが、やはり意識していたのでしょうか。

ジェイミー その通り! 『蒸気船ウィリー』のミッキーって、はっきりと「ミニー」を喜ばせるために動物を虐待しているよね。もっと言えば、ミニーへのウケを良くするためという下心がある。それに比べると、僕たちのミッキーはただ殺すだけで、誰かや何かを得ようとか、そういう魂胆もないんだ。

――なるほど、日本での本作の批判的な意見に「なぜ殺人鬼が殺戮をするのかの理由が分からない」というものを見かけたのですが、別のインタビューで監督は『ハロウィン』の「マイケル・マイヤーズ」という「ただ殺人鬼であって、ただ恐ろしいだけ」というホラーアイコンの例をあげていましたし、やはりそれは意図したことなんですよね。

ジェイミー まさに殺人鬼の意図が分からないということを、意図していたんだよね。最近の映画のトレンドに、背景を説明しすぎるほどに説明していることがあると思うんだよ。たしかに、観客の知りたい欲求に答えるのもひとつの正解かもしれないけど、「悪い人はこういうドラマを抱えているから」と描くと、その人は怖くなくなっちゃうとも思うんだよ。むしろ、普通に思える人が急に恐ろしくなる方が怖いんじゃないかな。本作の殺人鬼のように「次にどうなるか予測不可能」「制御できない」存在は、ものすごく怖いと思うよ。

――ほかにも、「ホラー映画では『すぐ戻る』は死亡フラグ」「恋に臆病な青年は90年代の映画では定番」などといったメタフィクション的なセリフは、『スクリーム』を連想させました。

サイモン それもまたその通り。「いかにも男らしいキャラクターがすぐに死んだり、オタク的な青年が良いアイデアを出したりする」のは、ホラー映画は『スクリーム』などの90年代ホラー映画に顕著だったので、オマージュしたんだ。

●ミッキー以外のキャラはみんな「下」

――本作のほかにも、有名なキャラクターのホラー映画がいくつか作られていますよね。たとえば『プー あくまのくまさん』の2作、さらには『マッド・ハイジ』『メリーおばさんのひつじ』『シン・デレラ』などなど……そちらはご覧になりましたか。

サイモン ごめん、観たのは『プー あくまのくまさん』だけだね。あれが良い映画かっていうと「うーん」なんだけど、アイディアとしてはすごくいいし、もちろん僕たちの映画とも似ているよね。ただ、なんといってもミッキーはトップに君臨する存在だからさ、ミッキーからすれば、ほかのキャラクターはもう全部それより「下」だよね。僕たちが一番「上」にいるっていうことを、ちょっと明らかにしないといけないよ(笑)。

――絵に描いたようなマウントですね(笑)。『プー あくまのくまさん』は「プーニバース」という、『バンビ』や『ピノキオ』など怪物化した人気キャラクターの続編と一堂に会する映画の計画も発表されていますが、そちらにも対抗できそうですか。

ジェイミー やっぱり、こういうのって「エクスプロイテーション映画」と呼ばれるよね。僕たちは「マウスプロイテーション」という新しい造語を作ったし、「プー」たちもその傘下といえるから、やっぱり僕たちのほうが上だね。

――なぜクリエイターは著作権切れのIP(Intellectual Property:知的財産)を、「ホラー」にしたくなるのでしょうか。監督もそのひとりですが、理由は何だと思いますか?

ジェイミー やはりミッキーは世界中によく知られて愛されているキャラクターだし、なんと言っても子供時代の思い出に強く結びついているよね。他の愛されキャラもそうだけど、そんなミッキーを殺人鬼にするという、この真逆の発想がやっぱり面白いんだと思うよ。そのなかでも、ミッキーはやっぱりトップだよね。

【画像】え…っ? 「殺人鬼版ミッキー」の全身ショットどんな感じ? こちらが「ゴツくて怖ッ」「武器それ?」となる姿です(4枚)

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