ジブリ公式が「否定」も語り継がれる幻のエンディング ファンの好奇心が幻想を生んだ?
スタジオジブリ作品にはファンの間で語られ続け、あたかも実在するかのようにささやかれるうわさがいくつもあります。特に、一部の作品であるとされるエンディング後を描いた「幻のシーン」は、公式から否定された今でもときおり話題としてあがっています。
公式は否定も誤解が広がったワケ

スタジオジブリ作品にはファンの間で長年語られ、あたかも実在するかのように広まったうわさも少なくありません。なかには、本来存在しないエンディング後の「幻のシーン」があったとまことしやかにささやかれる作品もあります。
そのひとつが、1986年に公開された『天空の城ラピュタ』の別エンディングです。同作は、主人公「パズー」とヒロイン「シータ」が、宙に浮かぶ伝説の城「ラピュタ」を巡る騒動に巻き込まれる冒険活劇です。
本来のラストは「ラピュタ」から離れたパズーとシータが、空中海賊「ドーラ一家」と再会します。そして、ドーラ一家と別れたふたりがシータの故郷を目指して進む場面で締めくくられました。
しかし、ネット上には、ラストシーンのあとに「パズーがシータを故郷まで送る場面を見た」と証言する人もいるようです。
ただ、スタジオジブリは「別のエンディングがあるという噂が流れているようですが、そういうことは一切ありません」と否定しています。
実は、1986年に刊行された小説『アニメージュ文庫 小説 天空の城ラピュタ』(作:宮崎駿/文:亀岡修)では、映画で描かれなかった続きが語られています。故郷に戻ったシータのもとに、パズーから開発中の飛行機についての手紙が届き、完成後の再会を約束するという内容です。
別エンディングのうわさが生まれた経緯は不明ですが、こうした別媒体の情報や「金曜ロードショー」の時間調整で流された設定画から妄想が膨らみ、幻のエンディングとして認識されたのかもしれません。
「ジブリ」作品では、2001年公開の『千と千尋の神隠し』にも、幻のエンディングが存在するうわさされていました。同作は、10歳の少女「荻野千尋」が家族とともに引っ越し先へ向かう途中、不思議なトンネルを通って神さまの世界に迷い込み、人間界に戻るために「千」という名で奮闘する物語です。
本来のラストは、千尋が青年「ハク」と再会を約束して別れを告げます。ハクと別れた後、千尋は豚の姿から人間に戻った両親と一緒に来た道を戻り、引っ越し先の新たな新居へ向かう場面で物語は締めくくられました。
しかし一部のファンからは、「そのあとに千尋が引っ越し先で小川を見付け、ハクの生まれ変わりだと悟る場面が一部の劇場で期間限定公開された」という声があがっているのです。
このうわさについても、スタジオジブリは「都市伝説です」と否定しています。当時の上映はフィルム形式だったため、一部の劇場だけで特別な映像を公開することはコスト面から見ても現実的ではありません。
ただし、引っ越し先の場面については、実際に途中まで絵コンテが描かれていたという話があります。千尋とハクのその後を知りたいあまり想像力が掻き立てられ、本当に存在したかのような錯覚に陥ったのかもしれません。
いずれの作品も、物語として一区切りついたところで終幕し、その後の展開については視聴者の想像に委ねられています。だからこそ、描かれなかった「その後」を知りたいという思いが、幻のエンディングという形で語られるようになったのかもしれません。
(LUIS FIELD)