途中で「放送形態が変更」された過激アニメ 「作者もビックリ」「もはやチキンレース」
過激すぎるアニメでは、その表現が放送上問題となることもあります。なかには対応を余儀なくされる事態となり、放送または配信の中止や、時間帯の変更があった作品もありました。
ギリギリを攻めすぎた結果「やっぱりダメだった…」

毎クール何本も作られるTVアニメにはさまざまな表現のものがあり、ときに過激すぎる内容で物議をかもすこともあります。さらには問題が大きくなり、放送または配信の中止や時間帯変更といった対策をとったケースもありました。
たとえば、衛星放送のみだった2008年の作品『かのこん』(原作:西野かつみ)は、同時にネットでの無料配信も行われていましたが、過激すぎたために途中から有料配信に切り替えられています。物語の冒頭では祖父と田舎暮らしをする主人公「小山田耕太」が、都会の学校「薫風高校」に転校し、学校一の美少女「源ちずる」と知り合いました。そして、なぜか耕太はちずるを含むヒロインたちから次々と好意を持たれ、過激なアプローチを受けるのです。
原作のライトノベルは序盤で軽いお色気程度だった描写がどんどん過激化していき、「ライトノベル史上最強の寸止め作品」と称される作品でした。アニメでも回を重ねるごとに刺激的な描写が増し、第7話以降の無料配信は「倫理規定を超えた表現があった」ということで中止されます。ちなみに過去の事情があるためか、いまでも各種動画サイトでの配信はありません。
観る手段は限られますが、当時観ていた視聴者からは「目まぐるしく回る日常が笑えて面白い」とコメディー演出を楽しむ声もありました。
また異種族たちの集まる娼館の世界を描く『異種族レビュアーズ』(原作:天原/作画:masha)も、2020年のアニメ版が一部地上波で放送が中止された作品です。作中では主人公「スタンク」たち「レビュアーズ」が、異種族の女性が働く風俗店を回って「採点」する様子が描かれ、店でのお色気シーンも含まれます。
作者の天原さんも、さまざまなインタビューでアニメ化に驚いたことを語っていた本作は、放送されるとBPO(放送倫理・番組向上機構)に意見が届きます。1月の開始時点で地上波の取り扱いは3局あったものの、うち2局が倫理的な問題で放送を中止したために1局だけが残りました。
ただ、話題性から3局が後追いで放送を始め、合わせると地上波は4局にて最終回を迎え、当初より放送局が増えています。そうした綱渡りのような駆け引きもあって、一部では「地上波チキンレース」といわれていました。
挑戦的ながら、設定のユニークさゆえに視聴者からは、「トンチキアニメで非常に楽しくて元気が出てくる」などの声があがっています。
ほかにBPOきっかけで対策を余儀なくされた作品では、2014年に放送された『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(原作:松沢まり)もあります。同作の主人公「神前美月」は、急に義理の兄となった「神前夕哉」との関係性に思い悩むなか、出会った幽霊の「寿日和」に取りつかれてしまいました。
1話では身体の支配権を日和に乗っ取られた美月が自身を辱め、さらには日和に快感を覚えさせられる過激な描写があります。放送開始時刻が22時30分という、深夜とはいえない時間帯だったこともあり、BPOに意見が寄せられ、対策として5話以降は放送時間を深夜の25時30分に変更されました。
要注意なシーンもありながら、兄弟の関係を描いたストーリーに視聴者からは「ドタバタ劇と他人を信じる重みを描いた物語に心を奪われた」といった声があがっています。
(LUIS FIELD)