マグミクス | manga * anime * game

『パトレイバー』最強のはずが勝てない「ゼロ」から見て取る「AI時代に響く警鐘」とは

「パトレイバー」シリーズの、なぜか勝てない「零式」「ピースメーカー」「AVR-0」を解説する記事に、多くの反響の声が寄せられました。その姿は、自動制御やAI技術が身近なものとなった現代にこそ、我々に響くものかもしれません

描かれていたのは「現代社会の落とし穴」?

左が「AVR-0」。「機動警察パトレイバー 21」作:ゆうきまさみ (小学館)
左が「AVR-0」。「機動警察パトレイバー 21」作:ゆうきまさみ (小学館)

「AI」が本当に身近な、日常的なものになった証左、といえるかもしれません。

 マグミクスは2025年5月5日、「『パトレイバー』最強のはずがなぜ勝てぬ? メディアごとの『ゼロ』の描かれかた」と題した記事を配信、これに現代のAI技術における課題を重ね合わせる声が多数、寄せられました。

 記事では『機動警察パトレイバー the Movie』の「AV-X0 零式」、『機動警察パトレイバー ON TELEVISION』および『NEW OVA』の「AV-0 ピースメーカー」、そしてマンガ版『機動警察パトレイバー』の「AVR-0」を挙げ、それぞれの劇中での描かれ方を追っています。それぞれに設定の違いはあるものの、いずれも主役機「イングラム」を上回る性能を持つとされていました。

「上回る性能」といえる根拠のひとつは、おおむね「衛星とのリンクによる半自動制御」や「AI制御」といった、イングラムよりも「機械任せにできる」という部分にあります。

 作品が発表された時代には、それらは現実に比べはるかに先進的な技術という色合いでしたが、2025年現在は、現実世界がそうした作品世界に追いつきつつあるという認識を、多くの読者が抱いているようです。特に、マンガ版に登場したAVR-0の描写には、我々の身近なところにもある「技術とその落とし穴」のようなものを感じさせられているようでした。

「外部データへのアクセスに必要な指揮車を乗っ取られることで、基本動作のみの状態になってしまう」という設定は、我々がスマートフォンやパソコンで体験している、クラウド依存のシステムにおけるネットワーク切断時の状況を予見していたかのようです。

 また「先回りする制御機能に泉野明が『きもちわるい』みたいなことを言っていたね」との指摘もありました。「自動入力や自動変換が余計なお世話的な動きをして、かえって使用者がもどかしい思いをする、現代のデジタル機器の操作に通じる部分が描かれていた」との声も。たとえばスマートフォンの予測変換に振り回された経験は、きっと誰にでもあるでしょう。

「パトレイバー」シリーズに見られるさまざまな「先見性」については、これまでも数多く議論され、意見が交わされてきました。しかしながらAI技術がこれほど急速に発達し、ある種の不安をも感じさせる存在となった昨今、作中に描かれた問題点や課題が、よりリアリティをともなって改めて突きつけられている、といえるのかもしれません。それは「パトレイバーに滲みでるのはAIへの不信感ですよね。今のAI万能論の時代こそ見てほしい話かも。ブラックボックスのAIを信用して良いのか? という問いかけがどの作品でも出ています」といった意見にも見られます。

 一方で、「AI制御の弱点が面白いですよね、どれだけ発展しても『人間の臨機応変』を再現するのは難しいのかもしれません」とあるように、作中で示されているのは「技術の限界」とそれを上回る「人間の可能性」ではないでしょうか。そしてそのような極限状態においては、操縦者の思い通りに動かせることが重要で、「コンマ何秒を争うモータースポーツの最前線が、未だにマニュアルなのと同じ事」との声も聞かれました。

 我々の日常生活において、そうした極限状態におちいることはそうそうないでしょう。とはいえ、現代のAIがしばしば間違えるなど「限界」があることも、我々はよく知っているはずです。AIとの付き合い方を考えさせられる現代だからこそ、改めて見直したい作品ではないでしょうか。

(マグミクス編集部)

【比較画像】こちらTVアニメ版「AV-0 ピースメーカー」と劇場版「AV-X0 零式」です(11枚)

画像ギャラリー