宮崎駿を唸らせた演技も…「実はアニメ声優を務めていた」大物アーティストたち
アニメや映画の世界では、本業が歌手でありながら声優として活躍したことがある大物アーティストたちがいます。今回は、そんな歌手としての顔とは違う一面を見せた大物たちの声優挑戦を紹介します。
声質を活かしたハマり役

アニメの世界では、時として有名な歌手やアーティストが声優として作品に参加することがあります。単なる話題作りと思われがちですが、特徴的な声や本格的な演技力を発揮して作品に深みを与えているケースも少なくありません。
今回は、その歌声で多くの人を魅了してきた大物アーティストたちが、声優として残した印象的な3つの作品と役柄を紹介します。
●松崎しげる『SPACE ADVENTURE コブラ』(1982年)
歌手として「愛のメモリー」などのヒット曲で知られる松崎しげるさんですが、実は1982年公開の劇場版『SPACE ADVENTURE コブラ』で主人公「コブラ」の声を演じていました。
銀河パトロールに追われる賞金首でありながら、犯罪組織「海賊ギルド」とも対立する一匹狼の宇宙海賊コブラ。左腕のサイコガンと持ち前のタフな肉体を武器に、ロマンと愛を求めて宇宙を駆け巡る魅力的なキャラクターです。
松崎しげるさんが演じたコブラは、アダルティーな側面を持つ劇場版の世界観に合わせたハスキーなボイスが特徴的でした。後にTVシリーズでコブラを演じた声優・野沢那智さんとは異なるアプローチで、劇場版独特の大人向けSFロマンというトーンを表現していました。
さらに、松崎しげるさんは主題歌「DAYDREAM ROMANCE」も担当。切なく力強いバラードは作品の世界観と調和した楽曲で、声優と歌手の両方の才能をひとつの作品で発揮した稀有な例といえるでしょう。
●美輪明宏『もののけ姫』(1997年)
芸能人声優といえばこの方を想像する人も多いかもしれません。『もののけ姫』でサンの育て親である犬神「モロ」を演じた美輪明宏さんの演技は、まさに圧巻の一言でした。「黙れ小僧!」をはじめとする印象的なセリフの数々は、独特の震えた声で表現され、リアルな「もののけ」の存在感を生み出しました。
興味深いのは、DVD『「もののけ姫」はこうして生まれた』に収録されているメイキング映像です。宮崎駿監督がモロの演技指導で「モロと乙事主はいい仲だった」と設定を伝えると、美輪さんも「……猪と犬が?」と笑いつつ完璧な演技を返し、監督の顔に満面の笑みがあふれるシーンが記録されています。
美輪明宏さんの独特な声質と表現力が、まさに「もののけ」のニュアンスを見事に抽出した特級品の演技でした。
●GACKT『SKET DANCE』(2011年)
正月恒例『芸能人格付けチェック!』で大物感を見せつけるアーティストのGACKTさんは、アニメ『SKET DANCE』で「ダンテ」こと「伊達聖士」というキャラクターの声を演じました。ダンテはヴィジュアル系の世界に陶酔し、普段から難解なワードを用いて会話するひと癖あるキャラクターです。
実はこのダンテ、GACKTさん自身をモデルに作られたキャラクターでした。そのため、GACKTさんがキャラクターボイスを務めることになったという経緯があります。
ダンテはヴィジュアル系バンド「JardiN(ジャルダン)」のボーカルで、「カイメイ・ロック・フェスティバル」では優勝を果たすほどの実力者。劇中ではGACKTさん自ら「生きとし生けるすべてに告ぐ」を歌唱し、睡眠学習によって演歌に染まったダンテが登場する第71話では、小節の効いた歌声も披露しています。
普段耳にするGACKTさんの声とはまた違った、新鮮な「GACKTボイス」が聴ける貴重なキャスティングでした。
なお、GACKTさんはそのほかにも『屍鬼』の桐敷正志郎役、『殿といっしょ』の上杉謙信役、『TRICKSTER』の怪人二十面相役など、複数のアニメ作品で声優を務めており、意外にも声優経験が豊富なアーティストの側面を持ち合わせています。
(マグミクス編集部)