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アムロ機を撃墜したけれど…小説版『機動戦士ガンダム』の「忘れられたパイロット」

『ジークアクス』で改めて注目を集めた小説版『機動戦士ガンダム』は、アニメ版とは内容が大きく異なることで知られます。ところで終盤、アムロ機を撃墜するという重要な役回りを演じた人物の名は、なぜあまり知られていないのでしょうか。

「歴史に残る大戦果」とはいえないワケ

小説版のアムロは、最初から軍人として登場。『機動戦士ガンダム II』著:富野由悠季 (KADOKAWA)
小説版のアムロは、最初から軍人として登場。『機動戦士ガンダム II』著:富野由悠季 (KADOKAWA)

 シリーズ最新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』の放送により、小説版『機動戦士ガンダム』(著:富野由悠季/イラスト:美樹本晴彦/KADOKAWA)が再び注目を集めました。その物語の終盤において、あの「アムロ・レイ」の駆る「G-3ガンダム」を撃墜するという、重要な役どころを演じた人物の名前をご存じでしょうか。

※本記事には小説版『機動戦士ガンダム』のネタバレが含まれます。

 彼の名は「ルロイ・ギリアム」といい、ジオン公国軍の「シャア・アズナブル」率いるニュータイプ部隊の一員として登場します。元々は画家を志していた学徒兵で、その素養を見出され戦場に送り込まれました。階級は中尉、乗機はビームバズーカを装備する「リック・ドム」です。

 その知名度は、驚くほど低いといえるでしょう。アニメ版『機動戦士ガンダム』には登場しないことも一因でしょうが、「アムロ機を撃墜」したことが、決して大戦果とはいえないから、というのも理由かもしれません。

 アムロ機撃墜の経緯は次のようなものでした。

 物語終盤、シャアはザビ家打倒のため、敵対する連邦軍の「ペガサス・J(アニメ版のホワイトベース)」に共闘を持ちかけようとします。シャアの部下として動いていた「シャリア・ブル」は、アムロに接触しこれを伝えようとするも、そのとき「ソーラ・レイ」が放たれました。これにより命を失った多くの人々の思念がニュータイプたちに届き、アムロもまた混乱、シャリアのメッセージを聞きながらもその乗機「ブラウ・ブロ」を撃墜してしまいます。そのシャリアの死の間際の思念はアムロに届き、そしてアムロは戦いの手を止め、シャアの意図を自機から離れたペガサス・Jへ伝えようとします。

 ところがその通信のさなか、それまでペガサス・Jへ牽制攻撃をかけていたルロイの誤判断による狙撃で、アムロの「G-3ガンダム」は爆散、アムロも戦死してしまうのでした。

 このような経緯だったため、「あのアムロのガンダムを撃墜した」という、そこだけを切り取れば大金星に見える事実は、とても大戦果と呼べるようなものではない、というわけです。

 これをルロイの大失態と評する声もあります。しかし、戦場の混乱の中で瞬時の判断を迫られたいちパイロットの行動として考えれば、必ずしも責められるものではない、という見方もあるようです。アムロもまた、残留思念で多くの仲間たちに語りかけるなか、ルロイをも励まそうとしていました。

 画家を志していた青年が戦争の狂気に巻き込まれ、図らずも歴史を変える役割を担ってしまった、というわけです。「俺は……とりかえしのつかぬことをしてしまった……」と涙するルロイ・ギリアムもまた、戦争の犠牲者といえるのではないでしょうか。

※ ※ ※

 シリーズ最新作『ジークアクス』でシャリア・ブルが重要な役割を担ったように、今後も小説版の要素が新たなガンダム作品に汲み取られる可能性はあるかもしれません。ルロイ・ギリアムという「忘れられたパイロット」もまた、いつか何らかの形で再び脚光を浴びる日が来るのでしょうか。

(マグミクス編集部)

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