『高校教師』主役並みの存在感だった京本政樹演じる「藤村先生」の末路 続編で「報い」を受けていた
最終回33%という高視聴率を記録し、社会現象を巻き起こしたドラマ『高校教師』を覚えていますか? 真田広之さん演じる教師と桜井幸子さん演じる生徒の切ない愛の物語に注目が集まりがちですが、本作を語るうえで忘れてはいけない「もうひとりの人物」がいます。
あまりにも皮肉で切ない、藤村先生の最期

1993年に放送されたドラマ『高校教師』といえば、教師と生徒による禁断の愛を描き、社会現象を巻き起こした名作です。主人公の「羽村隆夫(演:真田広之)」と「二宮繭(演:桜井幸子)」が紡いだ愛の行方は、放送から30年経った今もなお伝説として語り継がれています。しかしその裏でもうひとつ、戦慄のストーリーが動いていたことを覚えているでしょうか?
物語を語るうえで欠かせない存在が、京本政樹さん演じる英語教師「藤村知樹」です。端整なルックスと親しみやすい性格から生徒たちに慕われていた彼ですが、それはあくまで表向きの姿にすぎません。藤村は、自分に好意を寄せる女子生徒に関係を強要し、一部始終をビデオに記録するという、異常な一面を隠し持っていました。
繭の親友である「相沢直子(演:持田真樹)」も、その被害者のひとりです。ビデオテープを盾に繰り返し関係を強要されていましたが、藤村が求めていたのは、性行為そのものではなく、あくまで無償の愛でした。そのため直子の妊娠が発覚した際には、産まれてくる子供こそ自分を無条件で愛してくれる存在だと信じ、歪んだ喜びを抱いていたのです。
とはいえ結局、直子は中絶を選び、子供が産まれてくることはありませんでした。藤村の悪事はやがて羽村たちにも知られることになりますが、その罪が公に裁かれることはなく、物語は静かに幕を下ろします。
過激なテーマが多く描かれた『高校教師』のなかでも、京本さん演じる藤村は、ひと際強烈な印象を残す存在だったのではないでしょうか? 実際、ネット上には「京本さんの演技が鬼気迫りすぎてトラウマになった」「『高校教師』は京本政樹さんの記憶の方が圧倒的に強い」といった声も多く、いかに彼の存在感が際立っていたかがうかがえます。
しかし、藤村の物語はここで終わりません。2003年に放送された新たな『高校教師』では、前作から10年後の物語を描いています。心に秘密を抱える数学教師「湖賀郁巳」を藤木直人さん、彼を一途に慕う女子高生「町田雛」を上戸彩さんが演じるなど、主要キャストは一新されましたが、藤村役の京本さんだけは続投を果たしました。
本作における藤村は、今もなお私立日向女子高校で教鞭を執っており、現在は学年主任という立場にあります。赴任してきた湖賀の良き理解者となる一方、かつての過ちに苛まれながら日々を送っていました。とりわけホストに搾取される女子生徒「工藤紅子(演:ソニン)」には、かつて自分が傷つけた生徒の姿を重ねており、彼女を救うことで「許し」を得ようとしていたことが、藤村自身の口からも語られています。
紅子はある弱みを理由にホストから離れられずにいましたが、藤村はその情報が虚偽であることを証明するために、あえてホストの挑発に乗るという危険な手段に出ました。結果として紅子を縛っていた嘘は暴かれ、彼女を救うことにはつながったものの、その代償として藤村はナイフで刺されてしまうのです。
許しを求め、愛を夢見ていた藤村の最期は、かつて罪を犯した視聴覚室でひとり静かに息を引き取るという、あまりにも皮肉で切ないものでした。
ちなみに紅子を食い物にしていたホスト「上谷悠次」を演じていたのは、俳優の成宮寛貴さんです。ゲーム感覚で他人を傷付ける非情な男という難役ながら、京本さん演じる藤村と勝るとも劣らない強烈な存在感を放っていました。
こうした俳優陣の熱演が物語により深みを与え、『高校教師』は今なお多くの人びとの心に残る作品となっているのでしょう。
(ハララ書房)
