ビジュアル見て「エロ系だろ」←違います! 『瑠璃の宝石』が異様に人気な“納得”のワケ
2025年夏アニメの『瑠璃の宝石』は、ぷにぷにとした肉感のある女性キャラクターたちが生き生きと躍動する姿がとても魅力的です。しかし、多くの視聴者がこの作品にハマる理由は、それだけではありません。見れば見るほどハマる、『瑠璃の宝石』の魅力に迫ります。
なんてことはない鉱石がとびきりの「宝物」に

2025年7月より放送がスタートした『瑠璃の宝石』は、渋谷圭一郎先生の同名マンガを原作としたアニメです。キラキラと光るものが大好きな女子高生の「谷川瑠璃(たにがわ るり)」が、鉱物学を専攻する大学院生の「荒砥凪(あらと なぎ)」との出会いをきっかけに、鉱物採集に興味を持つ様子が描かれています。さらに、物語が進むにつれて、ナギの後輩の「伊万里曜子(いまり ようこ)」、瑠璃のクラスメイトの「瀬戸硝子(せと しょうこ)」が加わっていくのです。
原作を知らない視聴者がアニメを観たとき、最初に感じるのはキャラクターたちの躍動感あふれる動きではないでしょうか。むちむちとした肉感のある登場人物を生き生きと描く身体表現は、『無職転生』『お兄ちゃんはおしまい!』などを手掛けてきたスタジオバインドの本気度とこだわりを感じます。
また瑠璃たちのフィールドワークでは、山や川、木々や鉱石といった自然描写がとても美しく、鉱物に詳しくない人でも十分に楽しめます。アニメ公式サイトの用語解説ページを見ると、アニメの名シーンとともに鉱石の知識を学べるのでおすすめです。OP曲『光のすみか』やED曲『サファイア』をはじめ、作中の音楽は穏やかなものが多く、とても耳心地が良いです。
どの角度から切り取っても魅力的な要素が多い『瑠璃の宝石』ですが、1話2話と視聴を重ねるうちに、瑠璃たちの織りなす物語にどんどん魅了されていきます。物語ではフィールドワークを通じて、さまざまな美しい鉱物を発見していきます。しかし、時には砂をただ観察し続けるという作業もあるなど、地道な描写も多いです。光り物に目がない瑠璃にとって、そんな作業は苦痛そのものです。
しかし、地道な観察と考察を重ねることで見つかる鉱石や、鉱石にまつわる事実と出会うたび、彼女はその作業に意味を見出していきます。すると、今までなら興味を持たなかったほんの小さな欠片のような鉱石が、瑠璃にとってかけがえのない宝物になっていくのです。
特に秀逸だったのは、クラスメイトである硝子にスポットライトが当たった第7話ではないでしょうか。もともと石が好きだった硝子ですが、友人や幼稚園の先生、両親から自分の「好き」を否定され、自分の気持ちにフタをしてしまいます。しかし、瑠璃や凪、曜子と接して一見ゴミに見えるガラスにも歴史や物語があると知り、自分の「好き」に改めて向き合えるようになっていくのです。
瑠璃や硝子たちはコツコツと科学的アプローチを重ねて、鉱石の存在を追い求めていきます。その様子はまるで、自分の大好きなものを見つけて追求し、自分にとってピカピカと輝く宝物にしていく姿と重なるのです。そんな愛おしい行動に多くの人びとが共感し、この作品へとハマっていくのではないでしょうか。
(サトートモロー)

