『仮面ライダーゼッツ』だけじゃない! 歴代ライダーが重ねてきた「型破り」の数々
「憑依」は役者ありきの変身システム…?

13人の仮面ライダーが最後のひとりになるまで戦い続ける『仮面ライダー龍騎』(2002年)は、発表当時、「ライダー同士が殺し合うのか」と衝撃を与えたものです。現在では定番となった「ライダーバトル」を本格的に導入した作品であり、それぞれが欲望を賭けて戦い、敗者は「消滅する」という非情さは、シリーズ屈指の生々しさでした。また、戦闘に「カードバトル」要素を導入したことで、多彩な必殺技や武器、契約モンスターの召喚など戦闘に多様性をもたらす一方で、カードという商品を通じてファンも感情移入しやすくなり、後の多くの作品に影響を与えています。
一方で、あまりにも独創的で他作品に継承できなかったのが、『仮面ライダー電王』(2007年)の「憑依」変身システムです。
当初は「ライダーなのに電車に乗る」という点が注目されましたが、実際には主人公「野上良太郎」に「イマジン」と呼ばれる存在が憑依することで変身フォームが変わる仕組みが最大の型破りでした。
憑依は変身前から行われるため、良太郎は複数の人格に次々と切り替わり、そのたびに主演の佐藤健が演じ分ける必要があります。「仮面ライダー史上もっとも難しい」といわれた役を、まだ17歳だった佐藤が自らの力でつかみ取ったオーディションは「伝説のオーディション」と語り草です。「電王」の続編なり精神的後継作は、「佐藤健みたいな演技力おばけ」がいないと成立しないでしょう。
『仮面ライダーW』(2009年)も、「ふたりでひとりのライダー」という変身システムが当時は型破りと思われました。ですが、これは「ふたつのガイアメモリを組み合わせる」ことで多彩なフォームチェンジに繋がり、戦略性や商品展開の幅を大きく広げ、『仮面ライダーオーズ』『仮面ライダーフォーゼ』等にも受け継がれるド定番となっています。
さらに、強力な力をもたらすガイアメモリは、依存性や中毒性を持つということで、社会の暗部を映す鏡としてドラマに深みを与えました。これは『仮面ライダーガヴ』に登場する「闇菓子」とも共通する発想でしょう。
このように、仮面ライダーは「型破り」を積み重ねながら、新たな発展を遂げてきたのです。
(多根清史)






