『言の葉の庭』2人は再会したのか? 本編で描かれなかった「その後」に驚く
『言の葉の庭』の主人公「タカオ」と「ユキノ」は、果たして再会することができたのか? アニメを観たことがある人なら、一度は抱いたであろう疑問。その答えは、さまざまな形で提示されていました。
アニメ→小説→MVで完成する「孤悲」の物語

劇場用実写映画『秒速5センチメートル』の公開を記念して、2025年10月24日(金)から新海誠監督作品の3週連続放送がスタートしました。その第2弾として放送された『言の葉の庭』は、完全なハッピーエンドとは言い切れない結末ですが、実はアニメ本編では描かれなかった「その先の物語」が存在することをご存知でしょうか?
※この記事では、『言の葉の庭』の本編および小説版の結末に触れています。ネタバレにご注意ください。
本題に入る前にあらすじを簡単に説明すると、本作は梅雨の季節に日本庭園で出会った男女が紡ぐ「孤悲(こい)」の物語です。主人公の「秋月孝雄(CV:入野自由)」は靴職人を目指す男子高校生で、雨の日の午前中は学校に行かず、庭園で靴のデザインを考えることを日課としていました。そんなある日、いつもの場所で謎めいた年上の女性「ユキノ(CV:花澤香菜)」と出会い、雨の日の午前中だけの交流を重ねていきます。
やがてタカオはユキノに惹かれ、心に傷を抱えて「うまく歩けなくなった」と語る彼女のために、たくさん歩きたくなるような靴を作ろうと考えました。しかし最後まで、ユキノがその靴に足を通すことはありません。最終的にふたりは別々の場所でそれぞれの人生を歩み始め、最後はタカオが「いつかもっと、もっと遠くまで歩けるようになったら会いに行こう」と誓う場面で幕を閉じるのです。
互いを想い合いながらも結局結ばれることはなく、かといって完全なる別離ともいえない本作のラストは、公開当時大きな反響を呼びました。「ふたりのその後が知りたい」「幸せになってほしい」といった声も多く寄せられ、その想いに応える形で制作されたのが、新海監督自ら手がけた小説版です。
●小説版に描かれたふたりの「その後」
2016年に刊行された小説『言の葉の庭』(KADOKAWA)には、アニメでは描かれなかった人物やエピソードが数多く盛り込まれており、ラストにはふたりの「その後」をつづったエピローグが収録されています。
果たしてふたりは再会できたのか? 結論からいえば、ふたりはかつて何度も逢瀬を重ねた庭園で再会を果たします。ユキノが東京に戻るのは4年半ぶりのことで、その間にタカオは高校を卒業し、靴職人としての技を磨くためイタリアへ留学していました。もちろんユキノのために作った靴も完成していましたが、小説版でもその靴に足を通すことはありません。
ただしユキノがタカオの靴を履く場面は、思わぬ形で実現していました。それが、シンガーソングライターの秦基博さんによる楽曲『言ノ葉』のミュージックビデオです。
同曲は『言の葉の庭』のイメージソングで、映像は新海監督自らが手がけています。映画本編には登場しなかった新規カットも盛り込まれており、なかでも注目を集めたのがラスト10秒のシーンでした。その内容は実際にご自身の目で確認してもらうとして、ネット上には「ラストカットに震えた」「これは泣くわ」といった感想が相次いでいました。
●ふたりの姿は新海監督の大ヒット映画にも?
ちなみにふたりの「その後」が描かれたのは、小説版だけではありません。実は新海監督の大ヒット映画『君の名は。』でも、タカオとユキノの姿を確認することができます。
ユキノは本作のヒロイン「宮水三葉(CV:上白石萌音)」が通う高校の教師として、タカオは大人になった三葉とすれ違う通行人としてわずかに映るのです。
ただタカオの登場は一瞬のカットのみなので、注意して見ていないと(見ていても)気付かないかもしれません。それでも物語の後もふたりがそれぞれの場所で元気に過ごしていることが感じられるのは、ファンにとってはうれしい発見ではないでしょうか?
『言の葉の庭』の本編はもちろんのこと、小説版、ミュージックビデオ、そして『君の名は。』も合わせてチェックしてみてはいかがでしょうか。
(ハララ書房)