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『もののけ姫』ヤックル、実は「心臓バクバク」だった!? 無表情の裏に隠された意外な「本音」

主人公「アシタカ」の良き相棒で、『もののけ姫』屈指の癒やしキャラでもある「ヤックル」。山犬のように人語を話すこともなく、常に涼しい顔をしているイメージがありますが、本作の絵コンテを紐解くと、その胸中は決して穏やかなものではなかったようです。

山犬を前にしたヤックル、このときの心情は…

ヤックルの「無表情」に隠された、本音とは? 画像は『もののけ姫』静止画より (C)1997 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, ND
ヤックルの「無表情」に隠された、本音とは? 画像は『もののけ姫』静止画より (C)1997 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, ND

 スタジオジブリの名作『もののけ姫』において、「ヤックル」は主人公「アシタカ」の相棒として行動をともにする存在です。言葉を発することはなく、感情を大きく表に出すこともありませんが、その健気な振る舞いに心を掴まれた人も多いのではないでしょうか?

 実はそんなヤックルの内面について、『絵コンテ もののけ姫』(徳間書店)には、場面ごとの心情をうかがわせる書き込みが残されています。一見すると静かに佇んでいるように見える場面の裏側で、ヤックルは何を感じ、何に戸惑い、そしてどんな思いでその場に踏みとどまっていたのか。絵コンテを読み解いていくと、あの愛すべき相棒の姿が、これまで以上に愛おしく感じられるかもしれません。

 例えば物語中盤、アシタカは気絶した「サン」を抱えてタタラ場を後にしますが、その道中で力尽き、ヤックルから転落してしまいます。山犬たちがアシタカに迫るなか、サンは「お待ち! 私の獲物だよ」とけん制したあと、彼らのほうへ歩み寄りますが、ヤックルはそれに続こうとはせず、慌てて彼らと距離を取ろうとしていました。

 この場面について絵コンテでは、ヤックルが「アシタカへの愛情と山犬への恐怖にひきさかれている」状態であることが記されています。思えば、肉食である山犬にとってヤックルは格好の餌でしかありません。アシタカを案じながらも、山犬を前にしてそれ以上近づけないヤックルの気持ちは、決して無理なものではないでしょう。そのあと、山犬が「食べていい?」と呟いた際には、きっと心臓が飛び跳ねる思いだったはずです。

 こうした、実は心中穏やかではなかったヤックルの姿は、ほかの場面でも確認できます。目覚めたアシタカにサンが干し肉を与えている最中、おもむろに山犬の「モロ」が姿を現したシーンが、その一例です。

 このときのヤックルについて、絵コンテには「きんちょうしてふりむくヤックル」と書き添えられており、さらにサンがモロの視線の先に目を向けるカットでは「ヤックルは、恐怖で凍りついたまま」と記されています。山犬の子供でさえ恐怖だった状況を思えば、それをはるかに上回る巨体のモロを前にして、強い恐怖を覚えたとしても不思議ではありません。

 しかもそのあと、モロだけにとどまらず、おびただしい数のイノシシたちが姿を見せ、「なぜ人間がここにいる!?」とアシタカの存在を咎めます。それに対し、サンが「この人間の傷をシシ神さまが癒やした。だから殺さずに返す」と言い返す場面では、一見静かに佇んでいるように見えるヤックルですが、絵コンテには「サン、少しもひるまず足元のアシタカをかばって言う」「ヤックルも必死に踏みとどまっている」と記されていました。内心では必死に恐怖に耐えていたことが読み取れます。

 こうした心情から考えると、アシタカとの旅は、ヤックルにとっていくつ心臓があっても足りないほど過酷なものだったはずです。それでも手綱を解かれようが、お尻に矢が刺さろうが、主人の側を離れようとしなかったのは、それだけアシタカのことが大好きだったからなのでしょう。

 実際、回復したアシタカが巣穴の外にいるヤックルを見つけたカットには、「ヤックル うれしい」と書かれていました。表情こそいつもと変わらないものの、その胸中を想像すると、ヤックルという存在がより深く心に残ります。

 次に『もののけ姫』を見返すときは、ぜひヤックルの表情や仕草にも目を向けてみてください。絵コンテを知ったあとでは、無言で佇むその姿が、きっとこれまでとは違って見えてくるはずです。

(ハララ書房)

【画像】「よく考えると…」「そりゃ怖いか」ヤックルが恐れた『もののけ姫』キャラを知る(6枚)

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ハララ書房

エンタメ記事専門の編集プロダクション。漫画・アニメ・ゲームはもちろん、映画やドラマ、声優にも精通。メイン・サブを問わず、カルチャーの最前線を追いかけていきます。

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