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『ばけばけ』ヘブンと結婚するトキは「ラシャメン」扱いされる? 最初の5年は事実婚だった小泉セツが辛かった事とは

NHK連続テレビ小説『ばけばけ』第6週では、トキがヘブンの女中になるようです。いずれ彼と結婚するトキは、「洋妾(ラシャメン)」扱いされてしまうのでしょうか。

最初は事実婚だったセツさんとハーンさん

『ばけばけ』主人公のトキを演じる高石あかりさん。画像は「高石あかりファースト写真集 幻灯」(東京ニュース通信社刊)発売時の写真
『ばけばけ』主人公のトキを演じる高石あかりさん。画像は「高石あかりファースト写真集 幻灯」(東京ニュース通信社刊)発売時の写真

 2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)さんと、彼を支え、さまざまな怪談を語った妻の小泉セツさんがモデルの物語です。第6週では、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」の未来の夫「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」が、松江に来てから泊まっていた花田旅館を出て暮らすことを決め、同僚の「錦織友一(演:吉沢亮)」と一緒に身の回りの世話をしてくれる女中を探しています。

 県知事の「江藤安宗(演:佐野史郎)」は、錦織の話を聞いて「どっちもできる女中」を見付けるように言っていました。ヘブン本人がどう思っているのかは不明ですが、江藤は単に家事をするだけでなく夜の相手もする、いわゆる「洋妾(ラシャメン)」が必要だと考えているようです。

 第27話では、遊女の「なみ(演:さとうほなみ)」が周りから差別されるのを覚悟で、ヘブンの女中をやりたいと名乗り出ました。しかし、同話の最後では錦織がトキに女中をやってほしいと頼んできます。

※ここから先の記事では、『ばけばけ』の今後のネタバレにつながる情報に触れています。

 発表されている28話のあらすじを見ると、「武家の娘を女中にしたいというヘブンの注文に一致する」ため、トキに依頼が来たようです。なみは農民の娘なので、断られてしまったのでしょう。

 28話のあらすじによると、トキは錦織の依頼を断るそうですが、史実では小泉セツさんは1891年の2月頃からラフカディオ・ハーンさんの家で住み込みの女中として働き始めたといわれています。そして、同年の夏頃には、ふたりは夫婦関係になっていたそうです。セツさんに女中の仕事を紹介したのは、錦織のモデルである島根県尋常中学校(松江中学)の教頭・西田千太郎さんでした。

 セツさんがハーンさんの女中の仕事を引き受けたのは、生家の小泉家、養子として育った稲垣家がともに困窮していたためといわれています。当時、ハーンさんは尋常中学校のほかに師範学校の英語教師も務めており、県知事の次に高い月給100円をもらっていました。セツさんにも一般的な女中より、高い給金が払われていたと思われます。

 当時、いわゆる「お雇い外国人」の妻になった人たちが洋妾と蔑まれたのは、普通の日本人には難しい裕福な暮らしができることへの妬みもあったそうです。

 ハーンさんとセツさんが法的に結婚したのは1896年2月のことで(ハーンさんは日本に帰化し、小泉八雲に改名)、それまでは事実婚の状態でした。セツさんはひどい言葉も受けたようで、彼女は晩年、次男の巌さんの妻・翠さんに、周りから「洋妾、洋妾」と言われたことが一番辛かったと語っていたそうです。

 また、夫のハーンさんも、セツさんが差別を受けることを気に病んでいました。ハーンさんは熊本の高等学校に赴任していたとき(1891年~1894年)、同居していた隠岐の士族の子供・正義さんが洋妾にまつわる唄を歌っているのを見て怒り、すぐに彼を実家に送り返したという逸話が残っています。

 27話では、なみが洋妾は石を投げられたり、木に縛り付けられるなどのひどい扱いを受けると語っていました。これからヘブンの妻になるトキも、周りから差別されてしまうのでしょうか。

※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」

参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二/潮出版社)

(マグミクス編集部)

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