朝ドラ『ばけばけ』登場人物に「商売上手」がいない説 経済格差はげしい明治時代、意外な「成功者」が?
朝ドラ『ばけばけ』第7週では、明治時代の通貨価値と当時の経済格差について、視聴者の関心が高まりました。序盤から登場人物が「商売に失敗した」エピソードが描かれ、商売上手の人が見当たらない同作ですが、今後の放送で「成功者」は現れるのでしょうか。
同じ「教師」でも25倍の格差が?

2025年11月3日から放送されたNHK連続テレビ小説『ばけばけ』第7週では、主人公「トキ」の未来の夫となる 「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」が松江中学の英語教師として月100円の賃金をもらう一方、同じ新任の教員(非正規)であるトキの親友「サワ(演:円井わん)」は4円、花田旅館の女中「ウメ(演:野内まる)」に至っては90銭と、登場人物の「収入」に大きな格差があることが話題になりました。
一方、ヘブンのモデルとなった小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)自身は、ドラマと同様に島根県で英語教師として月100円の給与を得ていましたが、アメリカでの新聞記者時代には友人と共同で食堂を開業し、わずか1か月で失敗した経験がありました
このことを取り上げたマグミクスの記事「『ばけばけ』女中に「月20円」出せる超高給取りのヘブン先生 実はアメリカ時代に商売を始めて「大失敗」してた?」に寄せられた読者のコメントでは、「士族たちが逼迫したなかで、よくもまあ、英語教師にそんな大金出すよね」という意見が多くの共感を集めています。当時の県知事が薩摩藩出身だったことに触れ、「全国各地の県知事は薩摩や長州、土佐の方が多かった。彼らは江戸時代の侍よりも威張っていた」という歴史的背景への言及もありました。
意外な人物がのちに「成功」していた?
それにしても、『ばけばけ』は、商売に失敗して貧困に陥る人が多いのが特徴的です。ドラマ序盤では、トキの父「松野司之介(演:岡部たかし)」がウサギ商売で多額の借金を抱え、松野家を何かと支援してきた親戚の「雨清水傳(演:堤真一)」も、機織りの会社が傾き、心労がたたって急逝しています。
彼らは明治維新の荒波に翻弄された元・士族たちの運命を象徴しているといえますが、実は意外な人物が商売で成功をつかんでいました。
それは、トキの最初の夫で、松野家の窮状に耐えかねて出奔した「銀二郎(演:寛一郎)」のモデル、前田為二です。為二は、ドラマと同様にトキのモデルとなる「セツ」と結婚しますが、窮状に耐えかねて大阪に出奔し、二度と家に戻りませんでした。
後年、セツの遠縁が為二と会い、「為二は岡山で会社を経営して財を成し、家族もいた」ことが明らかになりました。因幡の没落士族の家に生まれた為二は、時代の荒波を乗り越えて成功をつかんだということになります。ドラマ放送では、多くの視聴者の関心を集めた銀二郎の再登場があるのかどうか、気になるところです。
(マグミクス編集部)

