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まさか“永遠の17歳”が荒々しい声を!? 格闘ゲーム『ラストブロンクス』

1997年8月1日、セガサターン用3Dタイプの対戦型格闘ゲーム『ラストブロンクス』が発売されました。当時としては珍しく、人気声優がキャラクターのボイスを担当。「永遠の17歳」井上喜久子さんが意外なキャラを担当して驚かせました。

玉石混交だった対戦格闘ゲーム

プレイステーション2版『SEGA AGES 2500 シリーズ Vol. 24 ラストブロンクス -東京番外地-』(セガ)
プレイステーション2版『SEGA AGES 2500 シリーズ Vol. 24 ラストブロンクス -東京番外地-』(セガ)

 1997年8月1日はセガサターン版『ラストブロンクス』が発売された日です。ストリートギャング同士の抗争という独特な設定のタイトルで、プレイヤーキャラクターが実在する武器を使用して戦う3Dタイプの対戦型格闘ゲームです。当時としては珍しく、人気声優陣がキャラクターのボイスを担当しており、意外な方が珍しいタイプのキャラクターの声を吹き込んでいます。ある声優さんのボイス聴きたさに『ラストブロンクス』を購入したライターの早川清一朗さんが当時を回想します。

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 筆者が初めて『ラストブロンクス』に触れたのは、1996年のゲームセンターでした(アーケード版タイトルは『ラストブロンクス -東京番外地-』)。当時は対戦格闘ゲームが大きなムーブメントを巻き起こしており、『ストリートファイター』や『サムライスピリッツ』、『キングオブファイターズ』『バーチャファイター』『餓狼伝説』など様々なタイトルがシリーズ化され、しのぎを削っていました。しかし当時の対戦格闘ゲームの世界は現代からは考えられないほど多数のタイトルが発売されており、ほとんど顧みられないような作品もあれば独特の個性を発揮していた印象深い作品もあり、まさに玉石混交の様相を呈していたのです。

 当時の筆者はゲームセンターにずらりと対戦台が並んでいるような流行りの対戦格闘ゲームをプレイしつつも、新作として一台だけ入荷されるタイプのゲームも好んで遊んでしていました。『ラストブロンクス』もそのようにして触れたタイトルだったのです。

 このタイトルを遊んだ時に真っ先に気付いたのが、キャラクターのボイスを、知っている声優さんがやっていたことでした。「お、これは矢尾一樹さんだ」「これは塩沢兼人さんだな」「このキャラは玄田哲章さんだ」と、次々と声優を言い当てる筆者を当時の友人たちはどう思っていたのか定かではありませんが、きっとダメ人間だと思っていたことでしょう。

 そうして大半のキャラクターの声を判別し終えたのですが、豊饒梛(以下、ナギ)だけはどうしてもわからなかったのです。いえ、正確に言えば聞いたことのある声でした。しかしあまりにもイメージが違いすぎ、「え、まさかなあ……」と確信が持てなかったのです。

 しかし、そのまさかが正解でした。

 ナギの声優は井上喜久子さんだったのです。

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