明暗が分かれた「スーパー戦隊」と「ライダー」の玩具戦略 新番組でも「購買意欲」は大きな課題?
ニチアサ特撮枠の2枚看板である「スーパー戦隊」と「仮面ライダー」。その主力商品といえば「巨大ロボ」と「変身ベルト」です。その主力商品の売上に差が付くようになった理由とは?
「巨大ロボ」は戦隊シリーズの定番だったが…?

特撮ヒーロー番組の主力商品といえば、やはり「オモチャ」でしょう。「スーパー戦隊シリーズ」終了が報道され、後番組として『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』の放送も決定しましたが、「戦隊」終了の背景には、オモチャ の低迷が指摘されていました。
どんなに作品内容がファンに評価されても、オモチャの売上が制作側の評価になります。「スーパー戦隊」シリーズと「仮面ライダー」シリーズは、近年は似ているようで違った商品展開をしていましたが、スーパー戦隊は年間売上50~60億円程度、仮面ライダーは300億円程度と、近年は明暗がくっきり分かれていました。
戦隊シリーズの主力商品といえば「巨大ロボ」です。初めて巨大ロボが登場した『バトルフィーバーJ』(1979年)以降、時代に沿って進化を遂げてきました。初めて「2号ロボ」と呼ばれる存在が登場した『超新星フラッシュマン』(1986年)、その2号ロボが1号ロボと合体するようになった『超獣戦隊ライブマン』(1988年)。この展開は後のシリーズにも引き継がれ、戦隊の定番となります。
ここからさらなる進化を遂げたのは『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001年)でしょう。同作品で登場する「パワーアニマル」が、戦隊オモチャに新たなパターンを加えました。
それは、5000円から1万円の高価格帯の巨大ロボに加え、その手足や武器になる1000円から2000円のロボをラインナップした点です。このジョイント機能は好評で、パワーアニマルは子供から大人まで集めるほどのヒット商品になりました。
これは「スターター」と「ブースター」と呼ばれる商法で、おもにTCG(トレーディングカードゲーム)で使われている言葉です。基本となるスターターに、ブースターと呼ばれる付属商品を追加していくものです。
「購入者に自由度の高い遊びを提供できる」のが、スターターとブースターの利点でしょう。そして、この商法はライダーのオモチャにも革命を与えました。



