「ガンダム50周年映像」に一部ファンが困惑? ←それを覆すレベルの「細かいこだわり」とは
主人公を「昭和のガンダム少年」にした理由がよくわかる?

前述したようにセリフのない映像ですが、それゆえにキャラのリアクションがわかりやすく、場面に対しての共感が得やすいと思いました。
映像の主人公は小学生で『機動戦士ガンダム』に触れ、高校生で『機動戦士Zガンダム』、子供を持つようになって『機動武闘伝Gガンダム』という流れでしょう。このことから推測すると、2026年現在は50歳代半ばくらい。いわゆるアラフィフと呼ばれる世代で、同世代の人には特に共感できると思われます。
主人公をこの世代に設定したのはどうしてでしょうか。この世代が「ガンダム」をメジャータイトルに引き上げた世代だからだと筆者は思います。
『機動戦士ガンダム』はTVシリーズが打ち切られ、映画3部作で大きなブームとなりました。この時、学生だった世代がアニメ雑誌などでとりあげたことがブームの火付け役としてよく取り上げられます。
しかし、それと同じくらいブームのけん引役だったのは当時の小学生でした。小学生を中心にガンプラがブームとなり、作品の知名度を加速した点は意外と語られていません。
そしてガンダムブームの時に小学生だった世代は、それ以降のシリーズもリアルタイムで経験していた生き証人ともいえます。そう考えると、リアルなガンダムの歴史を振り返る際にもっとも適しているといえるかもしれません。
また、映像の中盤で『∀ガンダム』の後に、『機動戦士ガンダムF91』と『機動戦士Vガンダム』が登場するのは歴史的におかしいと指摘する人もいました。これに関しては、初見では理解できない人がいて当然かもしれません。
細かく説明すると、この少し前に『G』を見て喜ぶ子供と、唖然とする主人公のシーンがあります。ここから『∀』まで流れるように続き、主人公が振り返ると『F91』と『V』……という流れでした。
これは、主人公が就職または結婚してガンダムをいったん卒業しますが、自分の子供が観ていた『G』から再度ガンダムにハマり、後追いで『F91』 と『V』を観た……という展開だと考えられます。就職や結婚という人生の転換期にアニメから卒業するというのはよく聞く話ではないでしょうか。
この他にも細かい部分にお遊び要素が結構あります。筆者的には「ジュエリー シャロンのばら」に気づいた時はツボでした。そういった部分を見ていくと、スタッフの細かいこだわりがよくわかります。
そう考えると、前述のファンが不満に思う点も、取捨選択による苦肉の策だったのでしょう。ファンの細かい要求ににはすべて応えられないかもしれませんが、ガンダム50周年の記念映像としては最大公約数の評価できる作品だと思います。
実際、この映像を自分に重ねて感動する人も多いようで、SNSでは好意的意見もきわめて多かった印象です。かくいう筆者も、自分の過去の出来事を思い出してグッときました。
(加々美利治)



