昭和『仮面ライダー』の怪人たちの意外な「出身地」 子供騙しじゃない「裏のメッセージ」が?
初代『仮面ライダー』の悪役である秘密結社「ショッカー」が送り込む怪人の出身地は、非常に国際色豊かでした。やがて回を重ねると日本出身の怪人も登場します。というのも、カルビー「仮面ライダースナック」のカード裏には、番組や雑誌でも明かされていなかった怪人の出身地が記されていたのです。
「空港の近く」「銀座のマンホール」出身地の意味を考えると…?

1971年から放送された元祖『仮面ライダー』の「仮面ライダー1号」、「2号」は、世界征服を目論む秘密結社「ショッカー」から送り込まれた数々の怪人によって何度も苦しめられました。怪人の出身地は実に国際色豊かですが、なかには日本の地方出身の怪人もいます。
なぜそれが分かるのかというと、放送期間中に発売されたカルビー「仮面ライダースナック」のおまけの「仮面ライダーカード」に、公式の怪人図鑑にも公開されていない出身地が記述されていたのです。
例えば、No.1「怪奇くも男」はアマゾン河りゅういき、No.2「吸血こうもり男」は南太平洋にあるこ島、No.3「怪人さそり男」はサハラさばく、No.4「人くいサラセニアン」は北アメリカ……と説明されています。
さすが世界各国に魔の手を伸ばすショッカーだけあって、怪人の出身地も国際的でした。しかし、回を重ねると徐々に変化し、No.16「泡怪人カニバブラー」は北海道むろらんおきのかいてい、No.17「毛虫怪人ドクガンダー」とNo.18「毒蛾怪人ドクガンダー」は富士さんろくと、日本出身の怪人も登場するようになります。
ほかにも日本出身の怪人は、No.111「昆虫博士カブトロング」は高尾の山中、No.170「ギルガラス」は群馬県浅間山麓、No.173の「ゴキブリ男」は東京・銀座のマンホール、No.213「ギラーコオロギ」は沖縄那覇空港ちかくの草むら、No.216「エレキボタル」は東京・多摩川などが挙げられます。世界の秘境だけでなく、私たちの身近な場所にもショッカー怪人の故郷があったのです。
もともと、怪人は仮面ライダーと同様に改造手術を受けたごく普通の人間です。例えば、さそり男はオートバイレーサーの早瀬五郎、ゴキブリ男は詐欺師の黒木が改造手術を受けた姿です。
この事実からわかるように、怪人の出身地は改造された人間ではなく、能力を移植された昆虫や動植物の生息地を指していると思われます。こうして見ていくと、仮面ライダーカードは怪人図鑑であると同時に、1970年代初頭の自然環境を映し出す記録でもあったことに気付かされます。
例えば、エレキボタルの出身地である多摩川は現在もホタルの復活活動が続けられていますが、都市化によって生息環境は大きく変化しました。カブトロングの出身地とされた高尾山も、子供たちが昆虫採集に夢中になっていた時代を思い起こさせます。
そもそも石ノ森章太郎先生が生み出したマンガ版『仮面ライダー』の世界にも、公害による自然破壊は色濃く反映されていました。ショッカー怪人の多くは動植物の力を利用して生み出されており、ライダーもまた自然界の能力を宿した改造人間です。作品の根底には現代文明が自然を脅かしていることへの警鐘が込められていました。
そう考えると、仮面ライダーカードに記された怪人たちの出身地は、単なる形だけの設定ではありません。放送当時から50年以上経った令和の時代に振り返ると、多摩川のホタルや高尾山のカブトムシといった設定は、「自然の象徴」を意味していたことがよくわかるはずです。
(LUIS FIELD)





