いま振り返る初代「ゾイド」の軌跡。子供たちの心をとらえた魅力はどこに?
「改造」で広がる想像力、ヒットは決定的に

もともと「ゾイド」の物語は、店舗で配布されていた小冊子「ゾイドグラフィックス」で発表されていました。それを読んで子供たちユーザーは、想像をふくらませて玩具を楽しんでいたのです。
やがてそれは小学館の学年誌や、コロコロコミックにも広がります。玩具を使った本格的なジオラマ、さまざまな改造例が紹介されて、ブームは地に足がついた安定感を得ます。なかでも、増刊としてまとめられた「ゾイドバトルストーリー」がユーザーに与えた影響は大きかったと思います。
大きな戦争のなかで、自分の部隊が戦うさまを想像し、玩具をそろえていく。オリジナルの改造が更なる想像を生んでいくわけです。
トミーもそれを後押しするように改造セットやフィギアセット、ディオラマベースなど、脇を固める商品を販売していきます。ラインナップも、大型を越える超大型ゾイドの「ウルトラザウルス」や、通常の1/72よりフィギアと連動しやすい1/24の24ゾイドシリーズなどを発売していきます。
その人気の高さは玩具だけにとどまらず、森永製菓から食玩として「森永チョコスナック メカ生体ゾイド アタックゾイド」という、1/72のゾイドと一緒に遊べる小型ゾイドが発売されています。
しかし、「ゾイド」は1990年に発売されたデス・キャットを最後に終了を迎えます。このひとつ前に販売されたキングゴジュラスは、最後を飾るにふさわしい、第一期では最高のメーカー希望小売価格となる製品でした。
こうして「ゾイド」第一期は終了し、世界観を引き継いだ『装甲巨神Zナイト』にバトンタッチします。
しかしながら、「ゾイド」の本格的な復活は1999年、アニメ『ゾイド』が起こした第二期ゾイドブームまで待つことになります。
そして2020年の現在、『ゾイドワイルド』が起こしたのが第三期ゾイドブームということになるのです。振り返ってみると、昭和、平成、令和と、「ゾイド」はそれぞれの時代で子供たちのハートをしっかりつかんでいるのですね。
(加々美利治)