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打ち切りの危機にあった『銀河漂流バイファム』 高評価が全話放送へつながる

最終回のタイトルは「いつまでも13人」

 さて、本作の最初の舞台となるのが、地球から40数光年離れた植民惑星クレアドです。主人公のロディたち13人の子供は、異星人ククトニアンからの攻撃を受け家や家族を失い、生き残った大人たちと共に練習艦ジェイナス号へと逃げ込み、まずは近くの惑星ベルウィックへ、そして地球へと脱出を図ります。しかし追撃を受けるなか、大人たちは次々と死んでいき、最後に生き残ったケイト先生も閃光の中に姿を消してしまいます。(後に廃人になりながらも生きていたことが判明)。

 このとき地球側の植民地が攻撃を受けた理由ですが、実はクレアドもベルウィックも元々はククトニアン人が管理・植民実験を行っていた星であり、地球側が武力で制圧して住民を虐殺したという過去があります。13人のひとり、カチュアはそのとき虐殺を逃れたククトニアン側の生存者という設定です。武力行使の犠牲となるのは、いつでも子供たちなのです。

 とはいえ本作における子供たちは、哀れな犠牲者として振る舞う余裕などありません。生き残るために自ら戦わなければいけない立場となった年長の子供たちは、ラウンドバーニアン(以下、RV)と呼ばれる人型機動兵器を用い、自衛のための戦いを行います。ここまでの脱出及び子供たちが戦う理由を丁寧に描写したため、ロディたちが実際にRVに乗って戦うのは事実上2クール目以降となりましたが、実際にRVでの戦闘が始まると、非常にこだわった作り込みが多々見られました。それまでのアニメでは宇宙空間を自由自在に動ける作品も多かったのですが、本作は姿勢制御バーニアでの制御がきちんと描写されていたのです。また、子供たちは正規のパイロットではないため序盤はかなりあぶなっかしい場面も見受けられましたが、後半になり戦闘経験を積んだ頃には歴戦のパイロットのような戦いぶりを見せていました。

 しかし、本作の最大の見どころは戦闘シーンや重い設定ではなく、苦しい状況に置かれた13人の子供たちが、衝突しながらも助け合って生きて行くシーンの数々です。故・神田監督の生活感あふれるジェイナス船内の描写は時に楽しげですらあります。最終回のタイトル「いつまでも13人」は、生死を共にした子供たちの絆は、永遠であることを最高のタイトルであると筆者は考えています。

(早川清一朗)

【画像】『バイファム』の印象的なOP曲

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