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『鬼滅の刃』に見える“覚悟” 脱税事件のあったufotableに「生殺与奪の権」

代表の脱税事件があったufotable

ufotable制作の2020年ヒット映画『劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」III.spring song』 (C)Nitroplus/TYPE-MOON・ufotable・FZPC
ufotable制作の2020年ヒット映画『劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」III.spring song』 (C)Nitroplus/TYPE-MOON・ufotable・FZPC

『鬼滅の刃』は極めて優れたマンガ作品ではありますが、歴史的ヒットをもたらす大きなきっかけとなったのが、ufotableによるアニメ化であることは、多くの人の意見が一致するところだと思います。日本でアニメを制作している会社は数多く存在していますが、ufotableのクオリティは最高レベルのものであり、劇場版『空の境界』や劇場版『Fate/stay night [Heaven’s Feel]』といったTYPE-MOON作品を中心に、極めて高い評価を受けています。

 このようにufotableは極めて優れたスタッフを揃えた、ハイクオリティなアニメーションを生み出すかけがえのない会社ではあるのですが、過去に脱税事件を起こした汚点があります。

 事実上『鬼滅の刃』とは関係ないタイミングの出来事であるにも関わらず「『鬼滅』を手掛けた会社が」といった報道がなされたことは残念でなりませんが、おそらく集英社はufotableが脱税に手を染めたことを知っても手を切ることはせず、追徴課税の納付という禊を済ませることを大前提として、共に歩む覚悟を決めたのではないでしょうか。最悪の場合は報道によってブームを沈下させられてしまう危険性を承知の上で、吾峠先生や編集者の方が心血を注いで生み出した作品を託すのは、並々ならぬ決意が必要だったのではないかと思えるのです。

『鬼滅の刃』はアニメ化の際、近年一般的にみられる製作委員会方式ではなく、集英社とアニプレックス、そしてufotableの3社により出資が行われているため、「(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable」とクレジットされています。各社の出資比率はわかりませんが、もし少額だとしても、その見返りは莫大なものになることは間違いないでしょう。

 アニメ制作においてはしばしば現場にお金が回らない現実が語られますが、出資側に回れば話は変わります。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の大ヒットがufotableに莫大な利益をもたらし、二度と脱税などに手を染めず、優れたクリエイターがお金の心配をせずに名作を次々に生み出してくれることを願わずにはいられません。

(ライター 早川清一朗)

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