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『鬼滅の刃』と『進撃の巨人』のつながり ジャンプ編集部の“恐れ“が良い結果に?

『進撃の巨人』が『鬼滅の刃』を生み出した?

著:諫山創『進撃の巨人』第32巻(講談社)
著:諫山創『進撃の巨人』第32巻(講談社)

『進撃の巨人』を語る際、しばしば「週刊少年ジャンプ」(以下、ジャンプ)は持ち込まれた原稿を没にしたというエピソードが語られます。「友情・努力・勝利」を掲げ、熱血主人公の作品が多い「ジャンプ」の編集者が、「巨人が人を食べる」陰惨なファンタジーマンガを目にしたときにどう考えたのかは推測するしかありませんが、「この作品はウチには合わない」と判断するのはごく当たり前だと思われます。

 だからこそ、自分たちの手をすり抜けていった『進撃の巨人』の大ヒットは、ものすごく悔しかったはずです。そして何よりも、恐ろしかったのではないでしょうか。

 今までの自分たちのやり方では通用しない。トレンドの変化をとらえきれていない事実を突きつけられたのです。

 とらえきれないのなら、またすり抜けていくでしょう。新たに連載を立ち上げても、うまく行かないでしょう。無論、「ジャンプ」にも『ジョジョの奇妙な冒険』(以下、ジョジョ)をはじめとするダークファンタジー路線の作品は存在しています。しかしかつて「ジャンプ」で『ゴッドサイダー』や『メタルK』というダーク系作品を連載していた巻来功士先生は、1980年代の「ジャンプ」黄金期の舞台裏を描いた著書『連載終了!少年ジャンプ黄金期の舞台裏』のなかで、『ジョジョ』に敗れて『ゴッドサイダー』の連載が終了したことを明かしています。この作品は筆者もリアルタイムで読んでいましたが非常に面白く、連載終了後には立て続けに単行本が重版されるほどの人気がありました。それでも打ち切られてしまうほど、ダークファンタジー系作品の連載継続は難しかったのです。

 推測ですが、「ジャンプ」は『進撃の巨人』を見逃したことをきっかけに、やり方を変えたのではないでしょうか。その代表例と思われるのが『鬼滅の刃』です。『鬼滅の刃』は「友情・努力・勝利」を取り入れ「人が鬼を退治する」という王道中の王道作品ではありますが、描写に関しては陰惨を極めています。また、連載開始直後の本誌掲載順位は後ろの方で、読者の一部からは打ち切りもささやかれていました。もし「ジャンプ」が10週打ち切りのルールを適用していたならば、2巻で終了してもおかしくはなかったでしょう。今までのルールに囚われない作品作りを志向した結果、歴史に残る大ヒットを生み出せた可能性は十分に存在します。

 また、近年では『呪術廻戦』や『チェンソーマン』、『約束のネバーランド』など従来の「ジャンプ」とは毛色が異なる傑作が次々と生み出されています。もしこの流れを『進撃の巨人』が作り出したとするならば、マンガ界における功績は、単なる1作品以上に大きなものがあるのかもしれません。

(早川清一朗)

【画像】「ジャンプ」の陰惨描写もあるダークファンタジー作品

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