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「スーファミ」発売の1990年、玩具屋が年末年始に行った「なるほど!」な戦略とは

クリスマスとお正月でラインナップを大幅入れ替え。その理由は…

30年前、子供たちに人気の商品のひとつだった「元祖SDガンダム」。画像は『元祖SDガンダム パーフェクトカタログ』 (講談社)
30年前、子供たちに人気の商品のひとつだった「元祖SDガンダム」。画像は『元祖SDガンダム パーフェクトカタログ』 (講談社)

 クリスマスイブ前後は、カードダスやガシャポンなどは店頭から撤去していました。その理由は、忙しい時期に両替やマシントラブルに人員をさかないようにするためです。

 さらにもうひとつ大きな理由がありました。それは、クリスマスプレゼントを買いに来た子供が、カードダスやガチャを衝動的に欲しくなり、親御さんがそれをクリスマスプレゼントとしてしまうことを避けたからです。

 玩具屋の考えとしては、クリスマスのメインターゲットは親御さんで、それが正月にはお年玉をもらった子供に変わるからでした。そのため「元祖SDガンダム」、プラモデルの「BB戦士」や「ミニ四駆」など、お小遣いで買えるものは、お正月用に確保していたわけです。

 店舗によって差があるかもしれませんが、この年末年始は筆者のいた玩具屋では1年の収益の8割近くを占めていた、一大イベントだったのです。

 もちろん、景気のいい話ばかりではありません。キャラクター玩具の売れ残りが多いのもこの時期です。

 この年、最大の問題だったのは『地球戦隊ファイブマン』の「マックスマグマ」という巨大ロボでした。前年の『高速戦隊ターボレンジャー』のターボビルダーという同系列の商品が予想以上のヒット商品となり、期待されてかなりの数が入荷されたのですが、まったく売れなかったことを憶えています。

 しかも、この「マックスマグマ」の困った点はその大きさにありました。置いてあるだけで売り場面積を圧迫して、他の商品が置けなくなるのです。とはいえ、逆に「目立つ」というメリットもありました。そこで「8割引」というポップを付けたところ、急に飛ぶように売れます。数日で在庫は一掃しました。

 これに関しては完全に赤字ですが、玩具屋としては「特売をする店」と思われて、普段の買い物でも来てもらえるという効果が期待できるわけです。……とはいえ、これはうまくいった例で、何年も在庫が残るというケースも当たり前のようにありました。この当時、店の片隅に数年前のヒット商品『聖闘士星矢』の聖闘士聖衣大系のフィギュアがいまだに残っていたことが、それを物語っています。

 この翌年、大規模店舗の「トイザらス」が日本に上陸。ゲームソフトの売れ行きの好調さと相まって、玩具屋のあり方はだいぶ変わりました。

 あのころとだいぶ変わってしまいましたが、今でも玩具屋さんたちはこの時期をけん命に働いているんだなぁ……と、筆者はつい懐かしく思います。

(加々美利治)

【画像】1990年のクリスマス…人気だった商品・ソフトたち(7枚)

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