『STAND BY ME ドラえもん 2』で微妙だった「のび太」の評価。原因は構造的な難しさだった?
変わらない“レギュラードラマ”と、成長・変化の“ストーリードラマ”

マンガ『ドラえもん』は、基本的に読み切り短編形式のコメディです。より詳しくいえば、エピソードごとの体験や事件がストーリーの大筋に影響されず、キャラクターもあまり変化・成長しません。ここでは映画監督・脚本家の三宅隆太氏が称している例に従い、こうした作品を“レギュラードラマ”と、前エピソードの体験や事件を踏まえてキャラクターが変化・成長し、物語が連続して展開する作品を“ストーリードラマ”と記します。
最終的には成長したのび太がしずかと結婚するという“ストーリードラマ”的展開があるにしても、マンガ『ドラえもん』のエピソードの大部分は、のび太の失敗が織りなす“レギュラードラマ”です。
一方、長い物語を見せる、読ませる必要がある長編の場合、冒頭からラストまでのキャラクターの成長・変化は重要な要素です。つまり、長編は少なからず“ストーリードラマ”の色を要求されているのです。
ですので、「STAND BY ME ドラえもん」シリーズが、『1』でドラえもんの出会いと別れ、しずかと結婚に至るまでというのび太の成長を軸に据えたのは妥当に思います。もちろん、“レギュラードラマ”に基づいて作られた各エピソードやキャラクターの性格や行動を組み込むわけですから、原作との差異は感じましたが、それは長編用の調整として自分には許容範囲内でした。
前述の2Dアニメの映画『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』でも、キャラクター描写などで、そうした調整は行われていますが、それぞれ映画単体で成長をリセットするという、“ストーリードラマ”の要素を内包した長い“レギュラードラマ”の形を取ることで、シリーズを重ねてきました。
それに対して、今回の『2』は『1』の直接的な続編であり、内容も前作同様、のび太としずかの結婚や祖母・両親との関係などを通じた成長を軸としています。
つまり、「STAND BY ME ドラえもん」シリーズは、『ドラえもん』シリーズでも異色といえる“ストーリードラマ”色の強いシリーズであり、本来は成長・変化しない原作のキャラクターやエピソードを再構成して、成長を描く……という難題に挑戦したといえます。
マンガやTVアニメなどの“レギュラードラマ”としての『ドラえもん』をよく知る人こそ、「STAND BY ME ドラえもん」シリーズに違和感を抱く理由には、こうした点にもあるのではないかと思います。








