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『はだしのゲン』作者がアメリカで受賞した「アイズナー賞」とは何か? 評価されたポイントは

1945年、広島への原爆投下がもたらした悲劇を描いた作品として知られるマンガ『はだしのゲン』作者が、アメリカの漫画賞で「殿堂入り」を果たしたことが話題になりました。原爆投下の当事国であるアメリカで、どのような点が評価されたのでしょうか。

マンガ産業と創造性における「貢献」を評価する賞

単行本『はだしのゲン 第1巻 青麦ゲン登場の巻』(汐文社)
単行本『はだしのゲン 第1巻 青麦ゲン登場の巻』(汐文社)

 去る2024年8月22日、マンガ『はだしのゲン』で知られる中沢啓治さんが、アメリカの権威あるマンガ賞「アイズナー賞」で「コミックの殿堂」入りをしたと報じられました。自身の経験に基づいて戦争や原爆の悲惨さを描き、反戦マンガの大家と称賛される一方で、代表作の『はだしのゲン』での一部の描写が問題視され、島根県松江市の教育委員会が学校図書室に閉架措置を要請したり、大阪府の泉佐野市市長が市内の小中学校からの回収を命じるなど、不当な扱いを受けてきた中沢さんの偉業が、ようやく国際的に評価されたと喜ぶ声が多く見られました。

 それでは中沢啓治さんが受賞した「アイズナー賞」の「コミックの殿堂」とは、どんな名誉なのでしょうか、

 アイズナー賞の正式名称は、ウィル・アイズナー漫画産業賞(The Will Eisner Comic Industry Awards)。その名の通り、アメリカおよび世界のマンガ産業に貢献した作品や作家などを称えるための賞です。

 文学性を重視するグラフィックノベルの祖と呼ばれる漫画家、ウィル・アイズナーの名を冠しているだけあって、同賞では人気や売り上げの規模だけではなく、創造性や独自性など、クリエイティブな面での影響力や貢献度が高い作品・人物が評価される傾向があるようです。

 審査過程は、出版社や作家などから受け付けた自薦あるいは他薦の作品群のなかから、審査員として選抜されたマンガの有識者5~6名が各賞数作のノミネート作品を厳選。その上で事前に登録された漫画関係者による投票で、各賞の最優秀作品、人物などを決定していきます。

 審査員や投票の有権者は漫画家、編集者、評論家、研究者、書店員などの関係者で、賞の対象となる範囲も作品・作家だけでなく、評論や装幀(そうてい)ほか広範囲に及ぶ、まさに「マンガ産業賞」と称されるのにふさわしい賞です。ちなみに今年(2024年)は32の賞が設けられました。

【画像】「悲惨な戦争」ばかりじゃない。『はだしのゲン』で描かれた「懐かしい遊び」(5枚)

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