「魔の1月」と呼ばれた、富野監督作品の奇妙な共通点。「打ち切り」は解消したが…
やがてジンクスは解消されるが…

富野監督が久しぶりにTVアニメに帰ってきたのは、『ガンダム』と同じ放送枠の『戦闘メカ ザブングル』でした。しかし、この作品も1月終了という展開を迎えます。
……と、先に言うと誤解を生みますが、打ち切りというわけではありません。『ガンダム』以降、この放送枠は基本的に2月開始、翌年1月終了の1年間という形になっていたからでした。
とはいえ、「富野監督作品は1月終了」というジンクスは、「打ち切り」という文字が消えただけで、いぜん記録更新中となってしまうわけです。続いて放送された『聖戦士ダンバイン』も1月に終了。1年間放送されてはいますが、ジンクスからは抜けられていません。
しかし、このジンクスも終わる時がやって来ました。1984年から放送された『重戦機エルガイム』は、当初の予定である50話から4話延長されて全54話、2月末に最終回を迎えたからです。この延長は打ち切り同様、急きょ決まったものでした。そして今のところ、富野監督作品としては唯一の延長されたTVアニメ作品であり、最長話数の作品です。
これにより、「富野監督のテレビアニメ作品は1月で終わる」という記録は途切れました。これにてジンクスも終了です。
ところが、この話にはまだ続きがありました。
この後、放送された『機動戦士Zガンダム』は予定通り、1年間の放送で全50話製作されたのですが、その後番組であり、この放送枠で最後の富野監督作品となった『機動戦士ガンダムZZ』は、全47話の放送で1月末に最終回を迎えます。
この放送枠では、この後にも多くのアニメ作品が放映されましたが、90年代を代表する「勇者シリーズ」など、多くの作品が2月開始、1月終了というサイクルで1年間放送されていました。
一方、富野監督のテレビシリーズ作品は別の時間枠でいくつか放送されていますが、1年間の4クール、または半年2クールという形で、特にスケジュールの変更は行われていません。
こうやって並べて考えると、ジンクスはいつの間にか、「放送枠」そのものに移行したのかもしれないですね。ジンクスというよりも製作側の都合かもしれません。
ジンクスというのは特に意味はないものですが、同じことが続くとどうしても気になるもの。みなさんの周りにも、そんな偶然はありませんか?
(加々美利治)