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『鬼滅の刃』最期に炭治郎の優しさに触れた鬼たち 何を思うのか…?

『鬼滅の刃』の主人公、炭治郎の優しさは、家族はもちろん、友だちや同僚、町の人々に対してだけでなく、敵である鬼にも向けられることがあります。なぜ、炭治郎は鬼に対しても優しさを惜しまないのでしょう? そして、最期の時に炭治郎の優しさにふれた鬼たちは何を思うのかを見ていきます。

倒した鬼に手を合わせ、成仏を祈る炭治郎

『鬼滅の刃 遊郭編』キービジュアル (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
『鬼滅の刃 遊郭編』キービジュアル (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 TVアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』でも見られるであろう炭治郎の優しさは、猪突猛進の野生児、伊之助ですら素直にし、ほわほわさせてしまうほど温かいものです。そして、炭治郎の優しさは家族にはもちろん、友達や同僚、町の人々に対してだけでなく、敵である鬼にも向けられることがあります。

 なぜ、炭治郎は、鬼に対しても優しさを惜しまないのでしょう? そして、最期の時に炭治郎の優しさにふれた鬼たちは何を思うのでしょう?

 この記事では、最期に炭治郎の優しさに触れた鬼たちを紹介し、炭治郎の優しさについて考えます。

●藤襲山の鬼:最期に手を握って祈りを…

 育手である元水柱・鱗滝(うろこだき)のもとで修業した炭治郎は、鱗滝にもらった刀をたずさえ、悪いことから守ってくれる厄除(やくじょ)の面というキツネの顔のお面を付けて鬼殺隊に入るための最終選別に参加します。

 最初に遭遇した2体の鬼に対して「水の呼吸 肆ノ型 打ち潮(しのかた うちしお)」で頸を落とすと、鬼たちの全身は、骨も残らずボロボロと崩れました。炭治郎は、自分が強くなったことを確信すると同時に鬼たちに同情し、自分を襲ってきた鬼であるにもかかわらず、「成仏してください」と手を合わせるのでした。

 そして、次に遭遇したのが大型の異形の鬼、手鬼です。手鬼は全身が無数の手で覆われた気味悪い姿の鬼で、47年前、鱗滝によって捕らえられ、以来、最終選別の場で鱗滝の弟子を見つけては容赦なく襲い、喰らってきたと言いました。鱗滝が弟子たちに渡していた厄除の面は、手鬼にとっては、彼の弟子を見分けるかっこうの目印。鱗滝は知らないこととはいえ、みすみす弟子を13人も手鬼に差し出してしまっていたのです。

 人間の子供だった頃、手鬼は怖がりで、兄に手をつないでくれと甘える少年でした。しかし鬼になった彼は兄を咬み殺してしまい、鬼化の進むうちに大切な兄の存在すら忘れしまっていたのです。彼に残ったのは、兄を求め、優しさを求めた手だけでした……。

 そんな手鬼の最期に、炭治郎は「悲しい匂い」を感じ、そっとその手を握ってやりました。これまでたくさんの人の命を奪ってきた残虐な手鬼ですが、炭治郎の優しさとその手のぬくもりに触れたことで、 自分が人間であったことや大切な人と過ごした幸せな日々の思い出を、一瞬だけでも取り戻せたのでしょう。ここでも炭治郎は、手鬼の手を握って、「神様どうかこの人が今度生まれてくる時は 鬼になんてなりませんように」と祈り、優しさで包み込んだのでした。

●朱紗丸:大切な毬を渡して…

 派遣された浅草で思いがけず鬼の始祖であり仇である鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)に遭遇した炭治郎。しかし、無惨は人ごみを利用して逃げてしまい、捕らえることはできませんでした。そこで炭治郎を助けてくれたのが、無惨によって鬼にされたものの無惨の支配を外れ、彼を殺すための研究をしている珠世と彼女がつくった鬼、愈史郎(ゆしろう)でした。

 時をおかず、無惨は炭治郎と珠世たちに刺客を差し向けました。そのひとりが、おかっぱ姿の女の子の姿をした毬鬼の朱紗丸(すさまる)です。朱紗丸は、強烈な勢いで毬を投げて建物を破壊し、愈史郎の頭や禰豆子の足を吹っ飛ばしました。

 しかし、珠世の血鬼術によって無惨の名前を口にしてしまい、無惨の呪いによって体から生えた手で頭や体を滅茶苦茶につぶされます……。とはいえ、基本的に鬼は太陽の光に当たるか、鬼殺の剣士が持つ日輪刀で頸を落とされる以外の方法では死ねません。朱紗丸も姿形がなくなるほどのひどい状態にされても死にきれず、「ま…り ま…り…」「遊…ぼ…」とつぶやいていました。炭治郎は戦いで傷つき、疲労で刀すら握れないような状態であるにも関わらず、ズルズルと這って彼女の体があった場所に近づき、毬を傍らに置いてやり、その境遇に同情すると同時に無惨への怒りをたぎらせるのでした。

『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録』によると、朱紗丸の毬はかつて人間だった時に父親に買ってもらったものだそう。人間だった頃の、父親との思い出があるからこそ、最期に毬を求めたのかもしれません。自分を苦しめた鬼に対しても、最期に願いをかなえてあげたいと思う炭治郎の優しさが無惨に利用され、惨殺された朱紗丸の魂を救ったと願いたいですね。

●響凱:敬意をはらい、認めるということ

 炭治郎と我妻善逸(あがつま・ぜんいつ)が指令を受けて向かった、人里離れた山奥にある屋敷に住んでいたのは、体にいくつもの鼓を生やした鼓鬼、響凱(きょうがい)です。人間だった時には小説を書き、鼓をたしなむ文化人で、鬼となった後も小説を書いていました。彼の生活態度や鼓の腕前、さらには小説まで酷評した知人を殺したことからは、プライドの高さがうかがい知れます。書いた小説を塵(ごみ)と言われ、原稿を踏まれたことは、彼には耐えがたいことだったのでしょう。

 そして、鬼になってからも、一度は下弦の鬼に入ったものの、食べることができる人の数が減って無惨に数字をはく奪され、なんとかばん回しようと必死でした。

 響凱の複雑な攻撃に苦戦した炭治郎ですが、足元に落ちてきた手書きの原稿を避けてとっさに足をついた際に攻略法を思いつき、ついに響凱を倒したのです。炭治郎は頸を切り落とす寸前に、「君の血鬼術は凄かった!!」と言い、その力を認めています。

 炭治郎が原稿を踏まなかったのは、それが「手書きの文字」だったからです。手書きの文字には書いた人の思いや気持ちが強く残っており、粗末に扱うのは書いた人に対して失礼だと考えられてきました。炭治郎もそのように考え、彼の手書きの原稿を踏まなかったのでしょう。知人に原稿を踏みつけられて作家として自信を失い、鬼としての力にも限界を感じ、傷つき、焦り、苦しんでいた響凱は、自分を認めてくれた炭治郎の言動が心に響き、喜び、安らぎ、満足感のなか、崩れていきました。響凱の場合は炭治郎の律儀で誠実な姿勢から生まれた人への敬意が、最期に受けた優しさだったと言えるでしょう。

※これ以降、まだアニメ化されていないシーンの記載があります。原作マンガを未読の方はご注意ください。

【画像】優しい炭治郎の羽織りガウンで癒やされる(6枚)

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