煙と喧騒に包まれた「ゲームセンター」は失われる…危険を冒しても行く価値があった?
1980年代から2000年代半ばにかけてちょっとした駅の前や繁華街ならどこでも見かけられたゲームセンターは、さまざまなゲームの電子音と煙草の煙、そして喧騒が渦巻いていた、熱気あふれる空間でした。しかし、今や見つけるのが困難なほどに数を減らしています。
危険を承知で入る場所だった
つい先日、Twitterを眺めていたところ、「ゲームセンターは不良のたまり場だって聞いたことあるけれど、不良がプリクラとかUFOキャッチャーをやるなんて信じられない」という内容のツイートを見て愕然としました。
現在の「ゲームセンター」と呼ばれる場所の多くは、UFOキャッチャーやプリクラ、メダルゲームがメインの空間となっており、かつて花形だった対戦格闘ゲームやシューティングゲームなどの筐体を置いている場所は年々少なくなっています。現在のゲームセンターしか知らない方からしてみれば、「不良のたまり場」と言われても実感がわかないというのは当然なのでしょう。
かつてアーケードゲームに青春の一片を捧げた筆者にとっては、あまりにも残念な話です。筆者が思い浮かべるゲームセンターとは、電子音が入り乱れ、空気には煙草の煙がこびりつき、あまり素性の良くない人間がうようよしている空間だという実感があったからです。
実際、アーケード版の『ストリートファイターII』をプレイしていた頃、自分が勝って対戦台の向こうで「バン!」と筐体を叩く音が聞こえたときには近くにいる友人や仲間の数と相手の仲間の人数を確認し、自分たちの方が多ければ対戦を続け、少なければ熱戦を演じて最後はわざと負けるといった自衛策を講じていました。
それでも喧嘩になり、手近にあるものを振り回して逃げ出したことだって何度もあります。逆に言えば、危険を冒してでも行きたい魅力にあふれた空間、それがゲームセンターでした。
すでにファミコンなどの家庭用ゲーム機が存在するのに、どうしてわざわざゲームセンターへと足を運んだのか。その理由としては、PlayStationやセガサターン、それに先んじてNEOGEOが出る以前の時期は、アーケードゲームと家庭用ゲームのクオリティには大きな違いがあったことが大きいでしょう。