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「ジャンプ」ラブコメ創世記を飾った“不良・お色気・清純”3作品

「週刊少年ジャンプ」連載中のラブコメ『アオのハコ』が大ヒットのきざしを見せ、「アニメ化」を期待する声も高いとか。「ジャンプ」は他誌と比べて圧倒的にラブコメが少なく、意識的に連載を開始したのも最も遅いとされています。そんな「ジャンプ」のラブコメ創世記から印象深い3作品をピックアップしました。

「ジャンプ」のラブコメはまさしく少数精鋭!?

「週刊少年ジャンプ」(以下、ジャンプ)連載中のラブコメ『アオのハコ』コミックス第1巻が2021年8月4日に発売され、即日10万部の重版決定。累計17万部を突破する人気となっています。「ジャンプ」のラブコメ作は、「マガジン」、「サンデー」、「チャンピオン」などの老舗週刊マンガ誌と比べてかなり少なく、創刊から53年を振り返っても40作品ほどしかありません。「マガジン」はその5倍はあるとか。

 1980年頃、『飛んだカップル』、『うる星やつら』、『みゆき』など、かわいい女の子キャラが登場する恋愛コメディが次々にヒットしたのをきっかけに“ラブコメ”というジャンルが生まれます。「ジャンプ」は「友情・努力・勝利」をテーマにヒット作を連発していましたが、さすがに時代の流れから着手した感じがありました。そこで、「ジャンプ」のラブコメ創世記作品から印象深いモノを3つ選びました。懐かしむ人がいていただければ幸いです。

●やっぱ鮎川だよなぁ~『きまぐれオレンジ☆ロード』

鮎川まどか派か檜山ひかる派かで分かれたが、鮎川派が多数… 著:まつもと泉『きまぐれオレンジ☆ロード』カラー版 第1巻(集英社)
鮎川まどか派か檜山ひかる派かで分かれたが、鮎川派が多数… 著:まつもと泉『きまぐれオレンジ☆ロード』カラー版 第1巻(集英社)

『きまぐれオレンジ☆ロード』(1984~87年)はコミック発行部数2000万部で、「ジャンプ」のラブコメでは1位です。魅力はなんといってもヒロインの鮎川まどか(中三)。黒いロングヘアーに抜群のスタイル、スポーツ万能、頭脳明晰、音楽の才能もアリ! ……だけど周囲からは不良少女と恐れられクールでツンデレ。気を許した相手には笑顔も見せる。読者はそんなまどかのとりこでした。今でも「ジャンプ」歴代人気ヒロインで上位を誇り、海外にも熱烈なファンが多いと言われています。

 最終回のラストシーンはキュンと涙を誘うハーピーエンド。高校卒業しアメリカへ渡ったまどか、大学へ進学した主人公・恭介。ふたりが最初に出会った長い階段の100段目付近で1年ぶりに再会します。恋心を抱いたまま離れ離れになったふたり。

恭介「答えてくれる? Like or Love?」
まどか「Like! …限りなくLoveに近い…ね!」

 恭介はまどかの腕をつかんで引き寄せ、ふたりはキスをします。

●当時なら“萌え”『いずみちゃんグラフティー』

著:金井たつお『いずみちゃんグラフティー』電子版 第1巻(集英社)
著:金井たつお『いずみちゃんグラフティー』電子版 第1巻(集英社)

 おそらく“ラブコメ”という名称ができる前で、単純に“学園マンガ”などと言われていた気がしますが、コアなファンも多いためここに選出します。

 硬派な主人公・芝田恭兵(16)の家で預かることになったヒロインの田村泉(16)が次々に騒ぎを起こして恭兵を振り回す、というラブコメによくある展開。泉はアイドル級のかわいさで学園の人気者、細身の身体ながらスポーツ万能で前半は剣道、後半は陸上の高跳びに挑みます。スポ根要素も見どころでしたが、少年読者の目を釘付けにしたのは泉のソフトなエロ。パンチラ、着替え、シャワーシーンなどセミヌードショット満載でドキドキでした。金井たつお先生は絵のタッチがリアルで、誇張しない16歳少女のボディライン、下着のデザインなども細かく描くなど、それが当時は画期的でした。

 しかし、この時代の「ジャンプ」ラインナップでは跳ねず、1980年第2~40号という短い期間で終了。もしも違うマンガ誌で連載していたら、もう少しヒットしていたかもしれません。

●永井くん…由美ちゃん…『キックオフ』

著:ちば拓『キックオフ』第1巻(集英社)
著:ちば拓『キックオフ』第1巻(集英社)

『キックオフ』(1982~83年)はタイトルから熱血サッカーマンガ……と言いたいところですがサッカーシーンはほぼなく、部員の主人公・永井太陽とマネージャー川村由美のラブラブワールドをしつこく描いた清純なラブコメです。ふたりともモテるので、異性からアプローチされたのを知って互いにヤキモチを焼いたりしますが、両思いなのに告白してもおらず友達以上恋人未満の関係がずっと続きます。

 お約束シーンが必ずあり、例えばページのコマが左右に6分割、左に由美の顔、右に太陽の顔。お互いを思い合うセリフがあって、2段目に沈黙、心の中で「永井くん……」「由美ちゃん……」と名前を呼び合う、といった感じ。このシーンは“キックオフごっこ”と呼ばれて流行ったとか。

『キックオフ』の世界観は、あだち充先生の作風をパロディ的に取り入れたそうです。「ジャンプ」がラブコメを意識して連載した最初の作品と言われています。

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「ジャンプ」はラブコメが少ない分、特に慎重に吟味し少数精鋭で連載しているはず。『いちご100%』、『ニセコイ』、『I“ss』、『電影少女』など、平成期から今日までラブコメヒット作もたくさん生まれています。あなたの好きな「ジャンプ」のラブコメは何でしょうか?

(石原久稔)

【画像】“少数精鋭”で連載中! 「ジャンプ」のラブコメ作品(7枚)

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