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金ロー『ルパン三世』アニメ化50周年企画 男の子を目覚めさせた「峰不二子」の遍歴

宮崎駿監督が「変名」で演出した第2期の人気作

 第2シリーズ後期に放映された「死の翼アルバトロス」と「さらば愛しきルパンよ」の脚本・演出クレジットは「照樹務」となっていますが、これは宮崎駿監督の変名です。劇場デビュー作『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)を完成させた宮崎監督が、劇場版の勢いをそのままTVシリーズに持ち込んだ名エピソードです。

 峰不二子の魅力がより楽しめるのは、「死の翼アルバトロス」でしょう。巨大飛行艇アルバトロス号をめぐる、宮崎監督ならではの大冒険活劇となっています。今回も峰不二子(CV:増山江威子)は敵に捕まり、スッポンポンにされてしまいます。しかし、籐椅子に座った峰不二子はまったく動じません。その上、アルバトロス号での攻防シーンでは、目が覚めるような格闘術を披露してみせます。

 宮崎監督が演出した「死の翼アルバトロス」の峰不二子は、ライト感覚で好評を博した第2シリーズのキャラクターとは大きく異なるものでした。『カリオストロの城』で見せた、女盗賊としてのタフさを強く感じさせます。ロボット兵が登場する異色作「さらば愛しきルパンよ」ともども、TVシリーズの1エピソードと思えないほど見応えのある内容となっています。

ルパンとの関係に決着をつける第5期の不二子

 2018年に放映された第5シリーズは、デジタル化が進んだ現代社会でのルパンたちの闘いを描いています。シリーズ最終回「ルパン三世は永遠に」では、ルパン(CV:栗田貫一)は敵対する巨大IT企業に監禁された峰不二子(CV:沢城みゆき)の救出に向かいます。

 これまでずっと付かず離れずだったルパンと峰不二子の関係性ですが、不二子がウェディングドレスを着ているカットがあり、この回ではふたりの関係に一応の決着が待っています。ふたりの再会シーンには、サプライズ演出も用意されています。

 50年も続いたアニメ『ルパン三世』は、時代を反映し、またシリーズを担当するクリエイターの好みも加わり、キャラクターは変化してきました。なかでも、最も変貌が激しいのは峰不二子でしょう。さまざまな顔を持つ峰不二子が生み出されてきました。

 宮崎監督の『カリオストロの城』での峰不二子は、「ときには味方、ときには敵。恋人だったこともあったかな」とルパンとの関係をクラリスに打ち明けています。峰不二子のこのセリフは、ルパンとの関係性だけでなく、女と男との普遍的な関係性を物語っているようにも感じられます。

 自由を愛する女・峰不二子は、とても気まぐれで謎めいた存在です。味方だと思ってすっかり安心していると、いきなり手痛い目にも遭ってしまいます。さまざまな顔を持つ峰不二子はミステリアスで危険な匂いを感じさせるからこそ、いつまでもセクシーであり続けるのではないでしょうか。

(長野辰次)

【画像】峰不二子&深キョン セクシーかわいすぎる姿(3枚)

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