『鬼滅の刃』の「日輪刀」のスゴいところ! 伊之助の「刃こぼれ」が実は最強?
『鬼滅の刃』で登場するアイテムで最も大事なものと言っても過言ではないのが「日輪刀(にちりんとう)」です。日の光を当てる以外で鬼を倒すことができる唯一の武器であり、柱や隊士たちの大きな個性にもなっている特別な刀です。この記事ではあらためて「日輪刀」のスゴさについてご紹介します。
「刀」を作るのは超大変

『鬼滅の刃』に欠かせない超重要アイテムである「日輪刀(にちりんとう)」。日光を当てるという方法以外で、唯一鬼を倒すことができる武器です。持ち主である柱や隊士たちによってそれぞれ形や色などが違うことから、キャラのトレードマークにもなっています。そんな「日輪刀」が一体どのくらい貴重なものなのか、そのスゴさについていろいろな角度から見てみたいと思います。
●原料も作る人も超貴重
まずは日本刀の作り方について簡単に説明します。日本刀は砂鉄から作られる良質な鉄「玉鋼(たまはがね)」というものが原料になります。玉鋼を熱して薄く延ばしたものをテコの上に積み重ねたら、そこから「鍛錬」という作業に入ります。「鍛錬」では、玉鋼が熱くなっているうちに叩いて切れ目を入れ折り返します。この叩いた時に不純物が火花となって外に出ていき、内部の炭素が均一化されます。これが刀の強さになっていくのです。かなり過酷な作業ですが、これを何度も繰り返して行わなければいけません。
その後は「焼き入れ」という作業です。まず焼き刃土という特殊な土を刀身に塗ります。硬くしたい部分には薄く、その他の部分には厚く塗ります。そして刀身を熱したあと今度は水に入れて冷まします。この時、薄く塗った部分は急速に冷えて硬くなり、一方厚く土を塗った部分はゆっくり冷えるため柔軟性が生まれるそうです。この違いによって刀に波紋が生まれるとのこと。日本刀の切れ味と柔軟性は気の遠くなるような工程から生み出されています。
そんな普通に作るだけでも大変な「刀」ですが……「日輪刀」は大刀であったりフェンシングの剣のような形であったりと、持ち主に合わせていろんな形で作られています。だからこそ作る刀鍛冶も超貴重な存在です。現代で刀鍛冶になろうと思ったら、刀匠資格を持つ刀鍛冶の下で最低5年間の修業が必要になります。そして文化庁主催の研修会に参加し修了する必要があります。しかも腕の良い刀鍛冶になるには、最低200本は作らないといけないと言われているそうです。これを考えると竈門炭治郎の日輪刀を作った刀鍛冶・鋼鐵塚蛍さんたちこそが一番貴重な存在かもしれません。
ちなみに「日輪刀」は原料も特殊で「猩々緋砂鉄(しょうじょうひさてつ)」と「猩々緋鉱石(しょうじょうひこうせき)」というものを使っており「陽光山」という年中日の光が当たる山でしかとれません。
庶民には手が出せない刀の値段
『鬼滅の刃』の重要アイテム「日輪刀」。まだまだスゴいところがたくさんあります!
●産屋敷家は資金力も絶大?
当時の「刀」の値段はいくらぐらいだったのでしょうか。時代によって変化はあるようですが、だいたい安いもので0.5両から1両。高いものでは10両以上となっていたそうです。これを現在の価値に直すと1両がだいたい13万円とのことなので……安くて7万から13万円。高いもので130万円。それ以上の名刀となるともっと高くなります。しかもこれは普通の日本刀の話。日輪刀になると価値はさらにあがるはずです。マンガでは炭治郎が戦いのなかで刃を破損してしまったのに対して鋼鐵塚さんが烈火のごとく怒るシーンがありましたが、お金の面からしても刀は大事ということがわかります。
ちなみに鬼殺隊は数百名のメンバーがいるそうです。仮に300人いたとして1本5両の日輪刀を持っているとすれば1500両。およそ2億円になります。そして鬼殺隊は政府などの公式組織ではありません。もしどこからの援助もなしにこの刀を調達しているとすれば、お館様は資金面でも偉大な存在と言えそうです。
●丈夫すぎる性能
美しく繊細な「刀」。それは逆に扱いがデリケートとも言えます。戦場で使うなかで刃こぼれしてしまうのはよくあることで、武士たちは戦場から戻るたびに研ぎに出していたそうです。また、薄く研ぎすぎると切れ味は増す反面、耐久力が落ちるからと、研ぎすぎないように工夫する者もいたそうです。
これを聞くと、新しい「日輪刀」をもらった瞬間に石で叩いてわざと刃こぼれをさせていた嘴平伊之助は、ある意味「どれだけ刃こぼれしようと戦える」最強のスタイルと言えるかもしれません。
また「無限列車編」で改めて人気沸騰中の炎柱・煉獄杏寿郎は、宿敵・猗窩座との戦いで、普通なら一撃で壊れてしまってもおかしくない激しい攻撃を何度も浴びせています。しかも「炎の呼吸」による爆炎が見えるかのような技を繰り出しながらです。あの戦いの影のMVPは最後まで戦い抜いた「日輪刀」と言えるかもしれません。
※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記
(吉原あさお)