声優・折笠富美子が演じるふたつのタイプ かわいい少女・クールな女性、演技の軌跡
声を使い分けるのが声優の仕事。なかでも声優の折笠富美子さんは、少女と大人の女性という両極端な役柄で高評価を得ています。これまで演じてきたキャラを振り返って、その演技力の魅力を探ります。
声優デビュー数年で人気声優の仲間入りを果たす
12月27日は声優の折笠富美子(おりかさ ・ふみこ)さんのお誕生日です。折笠さんといえば、これまでにさまざまなタイプのキャラを演じてきました。その軌跡を振り返ってみましょう。
高校時代、音楽の道に進むか悩んでいた折笠さんは、たまたま見つけた劇団の募集に興味を持ち、オーディションを受けて見事合格、高校卒業後に劇団入りしたそうです。最初の頃は俳優としての仕事がメインで、NHK大河ドラマの『徳川慶喜』(1998年)にも出演していました。
その後、活躍の場所を広げようと、アニメ『GTO』(1999年)のヒロインである冬月あずさ役で声優デビューします。同じ時期に『装甲救助部隊レストル』(1999年)でもヒロインのミア・リリエンタールを演じ、『∀ガンダム』(1999年)では月の運河人で主人公ロラン・セアックの幼なじみドナ・ロロイで「ガンダム」シリーズデビューも果たしていました。
その翌年、TV特撮作品『未来戦隊タイムレンジャー』(2000年)でタイムロボターというマスコットロボットの声を演じています。特筆すべきなのは、このロボターはセリフをしゃべるオモチャとして商品化されているので、折笠さんの声でしゃべるオモチャ第1号かもしれないという点です。
こうして順調にTV番組でレギュラー役を演じた折笠さんですが、筆者が印象に残るようになったキャラは『デジモンテイマーズ』(2001年)の牧野留姫が初めてでした。クールに見える面がありながらも、仲間たちとの行動から徐々に成長していくという、難しい役どころを1年間演じています。
そして、広く人びとの間に折笠さんの名前が浸透したのは、『あたしンち』(2002~2009年)の立花みかんでしょうか。作中での演技はもちろん、ショートコーナーなどの出番も多くて印象的でした。他の作品ではあまりない普通の女の子という感じが良かったです。
デビューからまだ数年しか経っていないこの時期に、『キン肉マンII世』(2002~2006年)の二階堂凛子、『最終兵器彼女』(2002年)のちせ、『宇宙のステルヴィア』(2003年)の藤沢やよい、『金色のガッシュベル!!(2003~2006年)のシェリー・ベルモンドなど、ひとつの型にはまらない色々なタイプのキャラを演じており、幅の広さを感じさせる演技を見せてくれた印象が強くありました。