アニメだから描けた? 考えさせられるトラウマ映画4選 サイコホラー、核の恐怖…
「自分」が崩壊していくサイコホラー

●『パーフェクトブルー』
世界的に人気の高い天才アニメーション作家・今敏の劇場初監督作にして、異色のサイコホラーアニメです。今監督にオファーが来た際には『パーフェクトブルー』というタイトルと、「アイドルが変態ファンにストーキング」されるというコンセプトだけ決まっていたそうですが、そこから今監督は脚本家の村井さだゆき氏と一緒に「犯人の異常性」よりも「追いつめられて壊れていくアイドルの内面」に迫ったプロットを作り上げました。
主人公の未麻は、アイドルグループを卒業し、女優として活動を始めるも、理想の自分にはほど遠く、さらにアイドルだった時の自分に固執するファンがストーカー化するなどのストレスで、過去の自分の幻影まで見るようになっていき……。
アイドルや女優でなくとも、自分の周りの環境の変化や、なりたい自分になれない悩みなどで苦しんだ経験は、誰にでも多かれ少なかれあるでしょう。「これは本当の自分か、これは本当に現実か」と虚実が入り乱れていくような感覚を映像化したアニメーションは、何度見てもクラクラします。「自分」を作っているのは自分自身か、それとも「他者のイメージ」なのか、そんなことまで考えてしまう作品です。
●『しわ』
スペインの漫画家パコ・ロカ『皺』をアニメ化した映画で、老人ホームを舞台にさまざまな男女を通して老いや認知症の問題を取り上げた作品です。絵柄は柔らかなタッチですが、本作はアニメーションならではの手法で老人たちが「老いたからと言って若い時とものの見方が変わっているわけではない」こと、しかし「確実に昔できたことができなくなっている」という現実を描写しています。
見ていると、嫌でも親や自分が年老いた時のことを考えてゾッとし、不安になってしまいます。見る人の年齢でも感想が変わってきそうです。
しかし、老いをただ否定的に描いているわけではなく、ユーモラスな描写で笑わせる場面もあります。「過去の思い出」が今の自分を救ってくれることもあると教えてくれる、優しい作品でもあるのです。
(マグミクス編集部)


