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40周年の『ザブングル』は「パターン破り」が満載! のちにロボットアニメの定番へ

『ガンダム』の劇場版で忙しいなか、富野監督が手がけた異色のロボットアニメ『ザブングル』が放送から40周年を迎えます。「パターン破り」とまで言われたその手法は、やがてロボットアニメの王道へとなりました。

富野監督自身も「パターン破り」だった新たな試みの数々

アニメ『戦闘メカ ザブングル』DVD-BOX PART-1(フライングドッグ)
アニメ『戦闘メカ ザブングル』DVD-BOX PART-1(フライングドッグ)

 本日2月6日は、1982年に『戦闘メカ ザブングル』が放送開始した日です。放送から40周年を迎えるこの機会に、当時「パターン破りのザブングル」とファンから言われた異色の人気作について振り返ってみましょう。

 本作は富野喜幸監督が名義を「富野由悠季」と改め、『伝説巨神イデオン』以来2年ぶりにTVアニメの監督として復帰した作品です。しかし、最初から監督として参加したわけでなく、もともと予定された監督が多忙だったため、急きょ富野監督が抜擢されることになった……という経緯でした。

 最初は宇宙を舞台にしたシリアスなロボットアニメとして企画されていた本作でしたが、富野監督が一夜で西部劇のような世界観に、ガソリンをエネルギーにしたハンドルで動くロボットもの……という斬新なアイデアを考案してきます。その勢いで、湖川友謙さんがデザインしたキャラ以外は、ほとんど富野さんのアイデアで新しいものへと刷新されました。

 この時期の富野監督は『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』と『THE IDEON 接触篇/発動編』という2本の劇場作品の監督も並行して進めており、多忙のためにデザインの変更まで進められなかったといいます。逆に時間の余裕があれば、もっと大ナタを振るって本作を変更していたかもしれません。

 このような流れだったことから、もともとの宇宙を舞台にした時のデザインだったザブングルとアイアン・ギアーが、他の登場ロボ「ウォーカーマシン(以下WM)」とデザイン的に大きく違うのはそういった事情があったからです。

 また、富野監督にしてはメインキャラの死亡率が低い点も、よく指摘される本作の特徴でした。これは作品の企画時からシリアスな展開や残酷な描写は青年層に受けても、オモチャの購買層である子供には受け入れられにくいという点を指摘されていたからです。

 結果的にこの制作方針によりゲストキャラや、主人公側と相いれない敵であるイノセントに死亡者は多く出ましたが、主人公ジロン・アモスの両親の仇であるティンプ・シャローンや、ライバル的存在であるキッド・ホーラは無事に逃げ延びており、作品の雰囲気を最後まで明るくさせる結果となりました。

 この流れは後に公開された劇場版『ザブングル グラフィティ』により濃く受け継がれており、死んだはずのイノセントのリーダーであるアーサー・ランクが実は生きており、失明したエルチ・カーゴの目の治療を引き受けるという、TV版より大きなハッピーエンドを生み出しています。

 この劇場版では併映があったことから90分映画として製作されていました。そのため、時間的な制約で総集編も無理だったことから「グラフィティ」のタイトル通り、楽屋落ちを盛り込んだ回想形式の作品になっています。

 セル塗りを途中で止めて、動画を直接撮影した「これが動撮だ!」や、関西地区では甲子園中継延長で放送されなかった回のゲストキャラのトロン・ミラン出演シーンでは「幻のトロン・ミラン(関西地区で)」とテロップを入れるなど、お遊び満載の映画に仕上げていました。

【画像】『ザブングル』放送途中で交代した主役機と、個性的なメカたち(5枚)

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