転売が横行する「ガンプラ」 玩具店を調査してわかった驚愕の実態とは
転売がもたらす本当の「悪影響」とは

店頭から商品が消える状況を、メーカーであるバンダイナムコグループが座視しているはずもありません。2020年11月、静岡県にあるガンプラの生産拠点「バンダイホビーセンター」の新館が竣工し、製造能力を従来の1.4倍に跳ね上げたとはいえ、いまの転売問題を解消するほどの急速な増産は難しいのでしょう。海外でのガンプラ人気も拡大の一途をたどり、国際情勢の不安定化や日本の経済状況などの要因もあり、素材の入手も厳しくなっています。
現状では卸から小売に流れる際に何らかの滞りが発生している状況も観測されており、バンダイも既にその点について言及しています。おそらく、近々に改善が行われるでしょう。
時として「物が売れるのだからいいじゃないか」と、転売の横行を軽視する意見も見られますが、転売がもたらす悪影響は恐るべきものがあります。
近年、転売によって大きなダメージを受けたものとして、「PlayStation 5」(PS5)が挙げられるでしょう。販売の初期段階で転売屋が多くを買い占めたために、実際にユーザーの手にどれだけの数が行き渡ったのか見当がつかず、PS5専用タイトルとして予定されていたゲームの開発が中断し、PC版への変更を余儀なくされたケースもあります。最初は買う気満々だった方のなかには、「もう買う気は失せた」という方も少なくないのではないでしょうか。
ガンプラも、転売によって欲しい人のところに欲しいものが届かない状況が続いています。この場合、特に大きなダメージを受けるのが子供たちです。乏しいお小遣いをはたいてガンプラを買おうとする子供たちに、転売屋から買う余裕などありません。ガンプラが欲しくなって店頭に行き、欲しいものがない状況が続けば、ガンプラそのものに興味を失う可能性が高いのです。初心者の入り口が極端に狭められる状況が続くことは、長期的に考えて大きな問題となるでしょう。
結局のところ、現状でできる対策としては「転売屋から買わない」に尽きます。利益が出なければ転売屋は勝手に消えます。転売に失敗した在庫を抱え、悲鳴をあげる転売屋も続出するでしょう。そもそもガンプラ転売は容積が大きくスペースを取る上に、ひとつあたりの利幅も小さく、なぜこんなものを扱うのか、理由がよく分からない品物です。
筆者も先日、1日かけて販売店をまわって何個のガンプラを入手できるのか試してみましたが、HGの「百式」がひとつ手に入っただけでした。仮に転売としたとしても、ガソリン代を加味すればせいぜい数百円の利益でしょう。小学生の小遣い稼ぎならともかく、大人であれば普通に働いた方がはるかに儲かります。商才のある人間であれば、そもそも見向きもしないでしょう。
転売屋から買わない。
それが、私たちが愛するガンプラを守る、唯一の方法なのです。
(早川清一朗)



