パロディでしか見ない?マンガの「お約束」の原点 パンをくわえて走る元ネタは?
ネット上でもネタにされている「四天王最弱」の元ネタは?

●「奴は○○のなかでも最弱…」
バトル系マンガで、やっと敵の幹部を倒したと思ったら……という風に、さらなる強敵がいることを匂わせるために使われるのが、このセリフ。ネット上でネタとしてよく見られるのは、「○○がやられたようだな……」「ククク……奴は○○四天王のなかでも最弱……」「○○ごときに負けるとは○○の面汚しよ……」というフォーマット。コピペやアスキーアートでネタとして広まり、有名になっています。
このフォーマットの元ネタは、『ギャグマンガ日和』に登場する打ち切られてばかりの漫画家・夢野カケラ先生による劇中マンガ「ソードマスターヤマト」の一幕です。しかし、これもパロディとして描かれたセリフであり、それ以前から「ありがちな展開」として認知されていたことになります。
その歴史は古く、『北斗の拳』のジャギが北斗四兄弟で最弱扱い、『キン肉マン』でも「7人の悪魔超人」でステカセキングが実力最低認定され、『ジョジョの奇妙な冒険』第2部では最初に発見された「柱の男」サンタナの能力が、のちに登場するカーズたち3人に比べて数段劣っていることが明らかに……という風に似たような展開が描かれてきました。
ただ、読者に強くイメージを植え付けた作品は、『魁!!男塾』のようです。例えば、「天挑五輪大武會編」の男塾vs狼髏館(ろうろうかん)戦において、狼髏館の先鋒・首天童子(しゅてんどうじ)のことを、次鋒・鎮獰太子(ちんどうたいし)が未熟者扱いしていました。その他、、宝竜黒蓮珠(ぽーろんこくれんじゅ)戦の回でも、一番手・張鳳(チャンホー)が倒されたのち、「我等 宝竜黒蓮珠にあって一番の小物…」と言われる場面が登場。このような流れが定番化しており、流行を生み出したと思われます。
●「俺たちの戦いはこれからだ!」
「俺たた」とも呼ばれる、マンガの最終回で定番のオチ。打ち切り作品に多く見られる例で、無理やり話をたたもうとするよりは、まだ続くことを思わせるこのラストは、潔いと言えるかもしれません。
有名どころだと、84年から1985年にかけて「週刊少年ジャンプ」で連載された『男坂』より、「オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな このはてしなく遠い男坂をよ…」というラスト。セリフは異なるものの、作者の終わらせたくないという思いが伝わってきます。その思いが通じてか、2014年6月に「週プレNEWS」にて、連載が再開されました。
最近でいうと、同じく「週刊少年ジャンプ」で2021年に連載されていた『レッドフード』の最終回も、このエンドです。本作は、「あえて」というニュアンスもありますが、「俺たちの戦いはこれからだ」というそのままのセリフで終わったため、話題となりました。
そして、「元ネタ」と呼べるほど古いものを挙げると、1982年終了の『コマンダー0』があります。ラストのセリフは「いくぜ!闘いはこれからだ!!」であり、かなり「俺たた」に近いです。より古いものだと、1970年終了の永井豪先生のマンガ『ガクエン退屈男』があります。こちらのラストは「たたかいだ いくぜ!」で、セリフとしては若干離れますが、ニュアンスとしては同じです。
似たニュアンスのオチで、さらに古いものをさかのぼると……1967年終了の『幻魔大戦』があります。物語のラストは、味方たちが集結したところで、ドクロ模様の月が落ちてくる、というもの。最後のコマのセリフはありませんが、戦いを予感させたまま終わらせるという点では共通しています。
今回紹介したいずれの「お約束」も、「元ネタはこれ!」と明確なものにはたどり着けませんでしたが、脈々と受け継がれている「お約束」の流れはあるようです。今回挙げたもの以外でも皆さんが気になる「よく見るシーン」の元ネタを探ってみると、マンガを読むのがもっと面白くなるかもしれませんね。
(古永家啓輔)




