『アンパンマン』バタコさんの異常な強肩とコントロール 初めての顔交換はいつ?
『アンパンマン』の定番シーンである、バタコさんの「新しい顔よ!」というスローイング。その技術のスゴさや、顔を投げ始めるまでの変遷を、あわせてご紹介します。
パワー・コントロール・条件計算、全てが完璧
「アンパンマン、新しい顔よ!」と、ピンチに陥ったアンパンマンのもとへバタコさんが駆けつけ、新しい顔を豪快にスローイング。国民的アニメ『それいけ!アンパンマン』でお馴染みのシーンです。
この描写についてたびたび議論となるのが、「バタコさんの身体能力が高すぎないか?」ということです。誰もが、一度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。この記事では、そんなバタコさんの能力や、顔を投げ始めるまでの変遷も含め、ご紹介します。
●投げるスピードは時速144キロ!?
一見しただけでもバタコさんのすごさは分かりますが、具体的な計算のためには、まず、「アンパンマンの顔の大きさ」が必要です。しかし、実は公式サイトに、顔に関しては「実際の大きさは私たちはまったく想像もつきません」と書かれています。
アンパンマンの顔の大きさ、重さには諸説ありますが、「空想科学読本」シリーズで知られる柳田理科雄さんは、画面上の描写からサイズ感を算出し、その計算を行っていました。計算によると、アンパンマンの顔の直径は約76cm、重さは実に112kg。彼の顔は普通のアンパンとは違う、横から見ても真ん丸な、完全な球体であるため、あんこもぎっしりでこれくらい重くても納得です。800人分のお腹を満たせるとのことでした。
そして、バタコさんがそんなアンパンマンの顔を投げ出す時の角度、到達時間を元に計算すると、そのスピードはなんと時速144km。112kgもの物体を、プロ野球選手のストレートと同じくらいのスピードで投げているのです。
●コントロール・条件計算も尋常じゃない
そしてバタコさんのスゴさは、肩の強さだけではありません。コントロールも抜群なのです。バタコさんが顔を投げるとき、大抵は数10メートル、場合によってはそれ以上の距離があるように見えます。古い顔に的中させるだけでも、相当なコントロールが必要になるでしょう。
さらにすごいポイントは、新しい顔が古い顔とぶつかったとき、古い顔はまっすぐに押し出されて、新しい顔はその場にとどまって入れ替わっているということ。ビリヤードやカーリングをイメージすればわかりますが、もしも芯を捉えていなかったら、ふたつの顔は斜めに弾かれてしまい、顔の交換は成立しません。つまりバタコさんは、数10メートル離れた位置から、寸分の狂いもなく中心をとらえてぶつけている(「向心衝突」)のです。