35年前の「週刊少年ジャンプ」掲載作品がスゴい顔ぶれ 計り知れない「競争の激しさ」
アニメ化作品の多さに圧倒される
1987年新年1・2号の七番目の掲載は車田正美先生の『聖闘士星矢』。この号でちょうど連載1周年を迎えています。ちょうどこの時白銀聖闘士編が展開されており、烏星座(クロウ)のジャミアンに追い詰められた城戸沙織がアテナとしての片りんを見せ始める回となります。実は1986年10月にTVアニメがスタートしているのですが、いま改めて考えると連載開始から1年経たないうちにアニメ化されたスピード感に驚かされます。
八番目は、ゆでたまご先生の『キン肉マン』。王位争奪戦でキン肉マンチームと知性(フェニックス)チームが激突、死闘の末にロビンマスクとマンモスマンの予言書がたいまつに焼き尽くされ、両者ともに消滅してしまいました。
九番目は平松信二先生の『キララ』。『ブラック・エンジェルズ』などで知られる平松先生が描いた破天荒なバイオレンス野球マンガでしたが、残念ながら短期間の連載に終わっています。2021年に「新装版 キララ」として刊行されたため、現在でも単行本を入手可能です。
十番目は『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。両さんこと両津勘吉がアイスホッケーに挑戦する回です。
その次は新沢基栄先生の『ハイスクール!奇面組』が続きます。ここまでのアニメ化作品はなんと九つ。信じられない数です。
ここで登場するのが、本宮ひろ志先生の『赤龍王』。中国で紀元前に繰り広げられた項羽と劉邦の戦い「楚漢戦争」を扱った物語です。始皇帝が築き上げた大国・秦が滅び、新たな国「漢」が築かれる前の波乱の時代が描かれました。
さらに続いて、北条司先生の『シティーハンター』、高橋よしひろ先生の『銀河―流れ星 銀―』、えんどコイチ先生の『ついでにとんちんかん』と、やはりアニメ化作品が並んでいます。この時代のジャンプの強さは空前絶後の領域に達しているといっても過言ではないでしょう。
そして今泉伸二先生の『空のキャンバス』と、こせきこうじ先生の『県立海空高校野球部員 山下たろ~くん』の2作品で、掲載作品は全てとなります。最後まですべてのマンガを余さず読める、思い出に残る号だったのではないでしょうか。この号に掲載された漫画家の先生たちは、当時どれほどの競争を潜り抜けてきたのか、想像することすらできません。
(早川清一朗)
※「週刊少年ジャンプ 1987年新年1・2号」は、「1月1日号」と表記されていますが、物流の問題や出版業界の慣習の影響もあり、実際の発売日は12月の上旬となります。ご了承ください。