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廃業あいつぐ「ゲームセンター」 かつては「居場所のない人間」が集まる場所だった

「憩いの場」としての役割を終わらせたものは?

池袋サンシャイン通りにあるアミューズメント施設「アドアーズサンシャイン店」(左)。店内はプライズゲームとメダルゲームが中心のラインナップとなっている
池袋サンシャイン通りにあるアミューズメント施設「アドアーズサンシャイン店」(左)。店内はプライズゲームとメダルゲームが中心のラインナップとなっている

 また、時代の変化に伴いゲームセンターが密かに果たしてきた役割が薄れたことも影響しているかもしれません。

かつて、ゲームセンターは不良のたまり場といわれてきました。しかし改めて振り返ってみれば、ゲームセンターには不良以外にもさまざまな人間がいたように思えます。暇を持て余した学生や仕事をサボっている会社員、ひたすらメダルゲームに興じるご老人など、小銭を払えば居場所のない人間を受け入れてくれる数少ない場所、それがゲームセンターだったように思えます。

 筆者も、学生時代はしばしば起こる不良たちとの諍(いさか)いに悩まされながらも、ゲームセンターに入り浸っていたものです。いつ行っても知っている顔がある。話したことはなくても対戦台に小銭を入れて乱入すれば、そいつがどんな奴なのかすぐわかる。友だちではないけれど、同じ時間と空間、ゲームを共有する仲間たちとの世界がそこにはあったのです。

 どうしてそんな大事な世界が次々と崩れ去っていくのか。

 大きな理由としては、SNSの登場が考えられます。SNS登場以前であればゲームセンターのコミュニティに居場所を求めていた人が、SNSに精神的な居場所を見つけられるようになり、わざわざ外へ出向かなくてもよくなったのかもしれません。

 家庭用ゲーム機の性能向上により、アーケードとそん色ないレベルのゲームが家で遊べるようになったこともあるでしょう。スマホでゲームが遊べるようになったため、ちょっとした暇つぶしのためにゲームセンターに行く必要がなくなったこともあるでしょう。

 しかし、「憩いの場」としてのゲームセンターを体験している者としては、SNSがその役割に取って代わったことが店舗閉店につながっていると、思えてならないのです。

(早川清一朗)

【画像】雰囲気や客層も「別モノ」? 新旧ゲームセンターを比較(6枚)

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