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昭和ライダー世代愕然…前代未聞のラスト迎えた『仮面ライダー龍騎』最終回から20年

TVシリーズ最終回が真のエンディングとなった理由

TVシリーズとは違う結末が描かれた『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』Blu-ray(東映ビデオ)
TVシリーズとは違う結末が描かれた『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』Blu-ray(東映ビデオ)

 前代未聞の出来事。それは主人公である城戸真司、仮面ライダー龍騎が最終回を前にして死んだことです。過去にも最後に死ぬことで世界を救ったヒーローは何人かいましたが、最終回を迎える前に倒れたのは、あまり例のないことでした。

 幼い子供を助けるため、怪人の攻撃をその身に受ける真司。戦いが終わった後、背後の白い車に多くの血痕を残して息を引き取ります。この血を流して最期を迎えるという姿は子供番組ではあまり例がなく、意図的にむごたらしい死にざまを見せるという演出でした。

 これにより最終回まで残ったのは秋山蓮/仮面ライダーナイト、北岡秀一/仮面ライダーゾルダ、浅倉威/仮面ライダー王蛇、そしてライダーバトルの首謀者である神崎士郎のエージェント・仮面ライダーオーディンだけとなります。

 しかし北岡は病気により命を落とし、そのため決着をつけることができなかった朝倉は自暴自棄になって警官隊と衝突して射殺されました。こうして最後のひとりを決めるべく、ナイトとオーディンとのラストバトルが始まります。そして、この戦いを制した蓮は望みである新しい命を手にしました。

 ここで注目したいのは、TVシリーズ最終回で勝ち残った蓮と、TVスペシャルで蓮のカードを受け継いでナイトサバイブに変身し勝ち残った真司のふたり。両方とも主役ライダーである龍騎でなく、2号ライダーのポジションであるナイトがライダーバトルを制したというのは、本作らしい意外性のある結末と言えるかもしれません。

 逆を言えば、『龍騎』という物語は真司と蓮のバディものだったとも考えられます。その点では『仮面ライダー』の掟破りを連発した作品でしたが、1号ライダーと2号ライダーが同格という点は原典である『仮面ライダー』と同じだったということになるでしょう。

 こうしてひとつの戦いが終わります。実はこのライダーバトルは、死んでしまった神崎の妹である優衣に新しい命を与えるために行われていたものでした。ところが、それを優衣がかたくなに拒否したため、神崎は時間を巻き戻すことで何度もライダーバトルを行っていたのです。

 しかし、優衣の説得をついに受け入れた神崎はライダーバトルを繰り返すことをあきらめ、現実世界から姿を消しました。この時、歴史が修正されたのか、すべての記憶を失うことによりライダーバトルで死んでいった者たちは復活を遂げます。

 こうしてエンドレスループだった世界は動き始め、その世界で真司は死んでいったはずの仮面ライダーたちと出会い、最後に蓮と再会するところで物語は終わりました。

 何度も同じことを繰り返した『龍騎』の物語は、もう二度と時間は繰り返さないという形で真の終結を迎えます。このことから劇場版やTVスペシャルで迎えた最後とは別で、本当の最終回はTVシリーズということになりました。『龍騎』はさまざまな仕掛けで視聴者たちをにぎわせた作品でしたが、そのラストは余韻のあるハッピーエンドだったと思います。

(加々美利治)

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