ジオングの「足なんて飾り」論争 完成していたらシャアはアムロに負けなかった?
富野監督のラフ画にヒントが!

ジオングの完成度についてはプラモデル「1/250 MSN-02 パーフェクトジオング」の説明書が答えになるかもしれません。そこには宇宙戦用として、通常は歩行ユニットの代わりに可変式のメイン・ロケット・モーターが搭載されていると記載されています。
ところが2019年から2021年にかけて日本各地で開催された展覧会「富野由悠季の世界」で展示されていた富野監督直筆のジオングのラフ画には、ブースター部に矢印で「足がつく処だった」とメモ書きが残されていました。
ジオングが初登場したのは1980年に放送されたTV版『機動戦士ガンダム』42話、「1/250 MSN-02 パーフェクトジオング」が発売されたのは1984年です。
時系列からみて、おそらくは映画上映後に設定の整理があり、最終的には説明書の記載のように、足のないジオングが宇宙戦仕様の完成品ということになったように思われます。
●命中率に2~3倍以上の差?
格闘できないジオングに搭乗したシャアは、射撃だけでガンダムと戦います。お互いが認識しあってから発射したビームをカウントしたところ、18発撃中3発(盾・左腕・頭部)をガンダムに命中させました。つまりシャアの命中率は16.6%です。
これに対しアムロは14発中5発(スカート、両腕、右胸、胸中央)をジオングに命中させています。これにはメインカメラを破壊された直後に乱射した回数が含まれているので、除外すると9発中5発がヒット。アムロの命中率は35.7%から55.5%ということになります。
このように実際にガンダムとジオングの戦いを見返すと、射撃しかできない機体にも関わらず、射撃戦でシャアは圧倒されていました。せめて足があればガンダムを蹴り飛ばしたり、手足を使ったAMBAC(アンバック、Active Mass Balance Auto Control = 能動的質量移動による自動姿勢制御)で違う戦い方ができたでしょう。
●機体熟練度は無視できない
シャアが勝てなかったのはアムロとのニュータイプ能力に差があっただけでなく、乗機の熟練度も大きく関係しているように思えます。
最初からガンダムという強い機体を乗り続けてきたアムロと、次々と機体を乗り換えざるをえなかったことで、相性の良い機体に習熟できなかったシャア。
しかもシャアの乗機のなかで『機動戦士Zガンダム』以降を含めても、巨体、脚部がない、格闘用の武器がない、頭部が分離するといった特徴があるのはジオングだけです。
そんな特殊なMSに初搭乗して、歴戦のガンダムと相打ちにまで持っていけたシャアは、やはり優秀なエースパイロットなのです。
(レトロ@長谷部 耕平)




