「シャアはニュータイプのなり損ない」はホント? 富野監督いわく「覚醒の条件」とは
『ガンダム』シリーズで高い人気を誇る「赤い彗星」シャア・アズナブル。高いカリスマ性とニュータイプ能力を併せ持ちながらも、「ニュータイプのなり損ない」と呼ばれたのはなぜでしょうか? “真のニュータイプ”とシャアの迷いについて考察します。
シャアは軸がブレブレ?

『機動戦士ガンダム』の大人気キャラクター、シャア・アズナブル。革命家の血を受け継ぐニュータイプにして、アムロ・レイのライバル、赤い彗星の異名を持つエースパイロットです。
しかし続編の『Zガンダム』においてはパプテマス・シロッコとハマーン・カーンのタッグに乗機・百式を大破寸前まで追い込まれ、「ニュータイプのなり損ない」と罵倒されてしまいました。
この記事では、本当のニュータイプとは何なのか、そしてシャアの迷いについて考察します。
●本当のニュータイプって何?
ニュータイプとは、シャアの父親であるジオン・ズム・ダイクンが提唱した「宇宙時代の新しい人類」というコンセプトです。
その厳密な定義は明かされてませんが「地球を離れて宇宙という広大な生活圏を手に入れた人類は認識能力が拡大し、肉体的、精神的にあらゆる物事を理解する事ができ、それが全人類に広がった時、かつてない相互理解が可能となる。それは、新しい宇宙空間という生活圏で生活するために人類がとり得た進化という形である」という思想が元になっています。
「ニュータイプとは戦争などしなくてもいい人間だ」とレビル将軍が言ったように、本当のニュータイプとは相互理解できるよう進化した人類のことで、モビルスーツパイロットとしての戦闘力とは何の関係もありません。
●シャアがシロッコに罵倒された理由
ハマーンとのふたり掛かりとは言え、シャアを圧倒したシロッコがシャアを「ニュータイプのなり損ない」呼ばわりしたのは、単純な戦闘力の評価ではありません。「シャアの迷い」を見抜いたからです。
この頃のシャアは、一年戦争でザビ家への復讐を果たしたせいか、行動がブレていました。それは『Zガンダム』時代の足取りを見れば明らかです。