執念の塊! 計画が入念すぎて怖いキャラ 「何人犠牲に?」「でもカリスマ」
主人公だけど引いちゃう周到さ

その他、『PSYCHO-PASS サイコパス』(原案:虚淵玄)の第1期に登場した槙島聖護は、数々の事件を裏で操っていた黒幕であり、人間の精神状態や性格傾向を科学的に分析する「シビュラシステム」に対し、否定的な考えを持っている反逆者です。
犯罪者となる危険性を示す「犯罪係数」が上がる状態においても、システムで認識できない「免罪体質者」であることから、「シビュラシステム誕生以降、最悪の犯罪者」と言われています。自身の目的を果たすためなら、殺人を含む犯罪に手を染めることも厭わない非常に冷徹な性格で、穏やかな雰囲気と整った顔立ちからは想像できない凶暴性と身体能力を持っている人物です。
槙島は「人間は自らの意志で選択・行動するからこそ価値があり、魂を輝かせることができる」という思想のもと、シビュラ下の社会で殺意を持て余す潜在犯たちに目を付けては背中を押し、犯罪のための技術や知識を与えていました。一方で、積極的に協力するものの、一度失望した相手はすぐさま見切りを付け、徹底して破滅に追い込んでいます。
物語中盤からは実行犯となってシビュラの根幹を襲撃したり、一時身柄を拘束されたのち脱走したり、食糧事情を崩壊させるためのバイオテロを画策したりと、大がかりな事件を次々に起こし、社会を揺るがしていきました。極めて知能が高く教養があるため、ウィットに富んだセリフが多く、終始自身の思想を貫いたこともあり、悪役ながらファンも多いカリスマ性を持ったキャラです。
物語の主人公でありながら、悪で悪を裁くダークヒーローとなっていくのが『DEATH NOTE』(原作:大場つぐみ・小畑健)の夜神月です。何不自由ない暮らしを送っていたハイスペックな天才でしたが、名前を書いた相手が死ぬ「デスノート」を拾ったことで自ら悪人を制裁するようになります。そして、犯罪者のいない、善人だけで構成された新世界を創造する「新世界の神」となることを最終目標として、大量殺人を行うようになっていきました。
この大量殺人は「キラ事件」として扱われ、月は捜査にあたったLを葬るために一度デスノートを手放します。これはキラを信奉する弥海砂と、海砂が契約している死神・レムにLを殺害させる策略の始まりに過ぎず、遠回りをしてでも自ら手を下さずに目的の相手を排除しようという、周到かつ凶悪な計画でした。
一時的ではあるものの武器であるデスノートを捨てて「ノートに関する記憶」も消し、強敵を倒すために人の心理まで利用する月は、その後も天才的な頭脳を悪行に使い、どんどん恐ろしい顔になっていきます。
その他、『コードギアス 反逆のルルーシュ』(原案:大河内一楼・谷口悟朗)のルルーシュ・ランペルージも、ダークヒーローとして人気が高いキャラクターです。眉目秀麗、頭脳明晰なルルーシュは「ギアス」という人を操れる力を得たことで、「優しい世界」の実現を目指すようになりました。理性的・理知的な合理主義者で、ルルーシュとしての自分と反逆者・「ゼロ」としての自分を使い分けつつ、邪悪な力を駆使して大国ブリタニアに挑んでいきます。
何度も失敗や敗北を繰り返したのち、物語は悪の皇帝となったルルーシュが描いたシナリオのもと進んでいきますが、その非情な行動の数々の裏には世界を巻き込んだ壮大な計画が隠されていました。自身が独裁者になってでも、命に代えてでも、世界を変えようという執念に震えます。
(椎崎麗)