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執念の塊! 計画が入念すぎて怖いキャラ 「何人犠牲に?」「でもカリスマ」

主人公たちを計画的に追い詰めてくる敵キャラや高い知能で策を練る悪役は、執念深くて恐怖を煽るものの、独特な魅力を感じさせます。今回は特に「計画が周到で怖い」キャラを振り返りましょう。

怖さがやがて「カリスマ性」に変わる

鶴見中尉がジャケットに描かれた『ゴールデンカムイ』DVD2巻(NBC ユニバーサル・エンターテイメントジャパン)
鶴見中尉がジャケットに描かれた『ゴールデンカムイ』DVD2巻(NBC ユニバーサル・エンターテイメントジャパン)

 主人公だけでなく視聴者をも翻弄する悪役や、ダークヒーローには、入念な計画や策略をもとに執念深く追い込んでくる怖いキャラも多々います。「しつこい!」「それもお前が仕込んでいたのか!」と、驚かされることもしばしば……。しかし、やがて、そんな執拗さ、周到さが魅力的に見えてくることもあります。

『ゴールデンカムイ』(原作:野田サトル)に登場する鶴見中尉は、最強と謳われた帝国陸軍第七師団に所属しており、主人公・杉元佐一たちと敵対する人物です。かつて日露戦争で砲弾の破片を受けた際に頭蓋骨前頭部を欠損、前頭葉の一部を損傷したため、ホーロー製の額当てで額から目の上までを覆っています。ビジュアルも強烈な上に、この損傷が原因で感情が昂ると額当ての下から「変な汁」が漏れ出すなど、狂気と奇抜さを持った存在です。

 そんなクレイジーさが目立つ鶴見中尉ですが、部下からは熱狂的な支持を受け、上司への尊敬以上の感情を抱いている者もいます。鶴見中尉は自らの協力者、手駒とするために、目を付けた部下たちの過去や人間関係を調べ上げ、それぞれに隠された想いや欲求、トラウマなどを利用することで、見事に懐柔していくからです。時には年単位の長い時間をかけて芝居を打ったり、あえて相手の心を折るような展開を作ったりと、どこまで本気でどこまで嘘なのかわからなくなるほどの壮大な仕掛けで部下はもちろん、最初は警戒していた剥製職人・江渡貝など協力者の心もつかんでいきます。

 これらを「鶴見劇場」と呼ぶ部下のひとり・月島軍曹のように、鶴見中尉の打算的な本心を知ったうえで忠誠心を示す者もいるほどの、「最強の人たらし」です。そこまでする背景には、鶴見中尉のある悲しい過去も関係していたのですが、その並外れた人心掌握力と巧妙に仕組まれた計画は、敵だけでなく味方のことも翻弄しました。

 味方をも翻弄する恐ろしい悪役といえば、『鋼の錬金術師』(原作:荒川弘)のラスボス「お父様」も思い浮かびます。主人公のエドワード、アルフォンス・エルリック兄弟の父であるヴァン・ホーエンハイムの血液を媒介して誕生した「人造人間」で、物語を通して登場する「七つの大罪」の名を持ったホムンクルスたちの生みの親です。

 彼はもともと、本編の舞台となるアメストリス建国よりも遥か昔のクセルクセス王国時代、偶然にして生まれた存在で、「フラスコの中」でしか生きられない、黒い影のような姿をしていました。しかし、生まれながらにして博識だったことから、不老不死を求めた当時の国王に頼られており、自身の肉体と自由を得るために国王を騙そうと決めます。そして、大規模な「国土錬成陣」を設置させることで、自分とホーエンハイム以外の国民を、賢者の石へと変えてしまいました。結果としてひとつの国家を一夜にして滅ぼし、賢者の石の力でホーエンハイムとそっくりの肉体を手に入れたのち、袂を分かつことになります。

 その後「お父様」はアメストリス建国に深く関わり、自らが生み出したホムンクルスや掌握済みの軍上層部を通じて、国家内部を操作していきます。最終目的である「神」たる完全な存在となるため、長い年月をかけてアメストリスで暗躍するのでした。「フラスコの中」から飛び出し、さらに大きくなった野望を果たすために、冷酷かつ執拗な行いを積み重ねていく静かな狂気は恐ろしいです。

【画像】計画の目的もしつこさも顔も怖い悪役(7枚)

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